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10月某日@渋谷川暗渠 |
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ロケ9日目、最終日。
.....正直、初めはせいぜい3〜4日で撮り終わると思っていた。いや、M川プロデューサーもS水ディレクターもそう思ってただろう。それが気付けば9日目、渋谷と杉並を徒歩でウロウロしてるだけとは思えない日数。だが、これは決して段取りが悪かったわけでも手違いがあったわけでもなく、行動を共にした番組スタッフがオレの想いと真意に気付き、NHKまでもがその方向性と問題の大きさを理解/支持してくれたからこそであり、同時に白根郷土博物館での"春の小川が流れた街・渋谷特別展"のタイミングの良い開催、そこでのT原氏との出逢いなど、偶然見つけたマネPの功績も含め、出演オファー/放送日時(東京オリンピック開催日程)などが本当の意味でドキュメンタリー番組として成立する後押しになったように思う。 |
正午過ぎ、渋谷駅南口に集合。オレは一足先に一旦金王橋まで行き、大きく黒い口を開ける暗渠入り口に、挨拶だけ済ませて来た。
暗渠内へ潜入するメンツはオレ、マネP、S水ディレクター、カメラのK平氏、音声のF村氏、そしてアシスタントとして急遽呼ばれたX氏。
まず、国道246号線沿い、既にS水氏が撮影許可を取ってあると言う大きな釣具店へ.....ナ〜ルホド、ここなら長靴選び放題だ。.....きっと、他のお客さん達からはこれから金髪のニイチャン
が釣りをしに行く撮影なんだろうと思われてた筈。
まあ、好きなものを選んで良いワケだが、せっかくなので同じデザインのサイズ違いで間違いなくロケの人数分揃うヤツをチョイス。棚に並んでた同デザインの青い長靴、一斉に品切れ!。 |
購入した長靴を持ってロケ車を止めた駐車場へ行き、ここで着替え。.....と言うか、中は変わらないけど、今回は外側が重装備。
まず、マネPが実家から持って来た頭に装着するライト(なんでそんなモン持ってんだか.....)、密閉式のマスク、フード付き/膝下までのレイン・コート、洗剤使用時に使うようなビニール製の手袋、そして買ったばかりの青い長靴。
.....ひとことで言うなら"洞窟探検隊"。
当然帽子からサングラス、下着やジーンズに至るまで着替えも持参、暗渠内から地上に戻って来て風呂に入った後は、何ひとつ暗渠内で使用したものは身につけていない、という計画。
「いやー、最高っすよ」
.....ま、おおいに笑える姿なのは承知の上、これがオレに出来る唯一のTV用サービス(笑)。
「じゃ、その姿で稲荷橋に向かって歩いて行って下さい」
246から歩道橋を渡って渋谷駅西口へ(通らなくても行けるのに.....)、そこから人混みをかき分け.....いや、勝手に道が出来て行く。例えるなら....."モーゼの十戒"状態(爆)。
そりゃ、過去にP.V.撮影でギター弾きながら公園通り歩いたりとか、色々やったさ。で、曲は流れてるしカメラマンいるから周りの皆さんもP.V.の撮影中だって解る。
街中/それも渋谷をこの格好.....市中引き回しの刑? |
.....ところが、スタッフ全員歩道橋の反対側まで行っちゃうワケ。で、cueが出るまでオレひとりで待ちなワケ。.....金髪/グラサンが洞窟探検隊の格好で(哀)。歩き始めれば歩き始めるで、すれ違う人がモノ凄い顔で見て避けるワケ。S水さんって、ドS?(爆)。
.....さすがにこんなのは初体験。ま、通報されなくて良かった.....。 |
いよいよ潜入直前、全員に緊張が走る |
一行、稲荷橋に到着。
「加瀬さんはno river, no lifeの写真の時、どうやって降りたんですか?」
「アレ」
コンクリート護岸の最上部から下まで、実は昇り降り用の小さな手すり/足掛けがある。もちろん何カ所かにあるので、大きく口を開ける暗渠内に入るロケーションのため、ひとつ先の金王橋から降りることに。まずオレが降りる。
.....懐かしい景色、懐かしい感覚。2年振りの渋谷川だ。
「くれぐれも気をつけて」
スタッフは重い荷物を持って降りなければならず、一歩踏み外せば下は水がないに等しいコンクリート。
特にマネPが心配.....いや、コイツ一番身軽に降りて来た(爆)。
「さあ、いよいよですね」
「.....はい」
気を引き締める。決して誰でも入れる所じゃない。そして、誰でも知ることが出来るものじゃない"現実"、その中へオレは、選ばれて入る。責任重大、そして少しの恐怖感と、少しの期待感。
「行きましょう、春の小川へ」
13時30分、稲荷橋下から渋谷川暗渠部へ潜入開始。 |