2008/05/25 up

2002年の1stアルバム"あんずジャム"以降、共に作品を創り、何度かステージ共演も果たしたAN'S ALL STARS。現在彼等のsound producerという立場のオレ、先日のclub・加瀬コム2008のAN'S ALL STARS出演のお返し的に、彼等の2008年のワンマン・ツアー千秋楽の東京公演にギタリストとしてゲスト参加することとなった。
2002年、旧友・乙部(Dr)の「加瀬ちゃん、ちょっと相談なんだけど」というひとことで始まったオレとAN'S ALL STARSの付き合いも早6年目。何やっても4年しか続かないオレがどうしてそんなに長くお付き合いさせて頂いてるのかと言うと、彼等自体、活動期間/回数が極めて限られたバンドだからなのである。事実、制作という側面で見ると2002年に1stの"アンズジャム"をリリース、その後マキシやタイアップ曲などのいくつかのリリースを経て、昨年2007年の2nd"カモンナ!!"が実に5年振りのアルバム。ライヴも年に数回、実質的に6年仕事してる感覚はナイ(爆)。が、そのおかげで常に新鮮でいられたり、アイデアを練る時間があるのはもちろん事実。が、ファンとしてはヤキモキ。
バンドのスポークスマンの森久保祥太郎/石川英郎のふたりは本業が声優。共演したラジオ番組で意気投合、ユニットを結成し、"ゆず"にあやかり"あんず"と命名。番組終了後も活動を継続、その後自然に5人組のバンドとなった。が、特定のメーカー/レーベルとは契約せず、全て自分達によるインディペンデントな企画/活動で成長して来たという異質な経歴を持つ。昨年発表した最新作"カモンナ!!"からオレがsound producerとなり、今までよりも1歩突っ込んだ形で制作を行っている。2003年のライヴにゲスト出演したり、DVDなどにも度々登場するオレは、彼等のファンである"アンダチ"にとっても"知った顔"。
そんな彼等が、2008年3月にCCレモン・ホール(渋谷公会堂)、同5月に大阪/東京でのワンマンの開催を決定。そして、その間にあたる4月にはオレのsiteのイベント"club・加瀬コム2008"への出演があるという、この春はこれまで見たことのない怒濤のライヴ・ラッシュとなった。ワンマン直前のclub・加瀬コムではオレと数曲を共演、翌月のワンマンにお返し的にオレがゲスト出演、というのは流れ的に美しい。唯一心配なのは、異なる4本のライヴを、多忙な彼等がどうこなすのか。リハーサルひとつとっても誰かが「アレ?、今日なんだっけ」になりかねない。それほど、彼等のライヴは"ただのライヴ"とは違うからだ。
AN'S ALL STARSは、オレの知る限り"エンタテインメント・ユニット"だ。確かにヴォーカル・デュオでありロック・バンドなのだが、それ以上に"オーディエンスを楽しませる"ことを常に第一に考える。結果、彼等のステージは編成も仕掛けも大掛かりとなり、音源の中身も音楽+トークなど、バラエティに富んだものとなる。
全てをself produceで行う彼等が他と違うのは、実現する/しないは別として、エンタテインメントのノウハウを知っていること。これは当然森久保祥太郎/石川英郎の本業あってのことだ。もちろん通常"バンドマン"にはこれほどの知識も人脈も、そして加えるなら度胸もない。が、彼等はそれを躊躇せず、「出来るか」ではなく「実際やったらどうなるか」からスタートすることが出来る。それが彼等のエンタテインメント性を豊にする最大の武器なのである。が、構成作家も持たずにどうやってエンタテインメントを創り上げるのか。答はシンプル、自分達でアイデアを出すこと。そして、実行に向けて動くこと。しかしそれは簡単なことじゃない。が、彼等の、特にワンマン・ライヴでは開催する度に常に"進化"が求められる。何しろ、以前club cittaでのワンマンでは祥太郎が禁断のゾナー(おはスタ/TV東京)まで披露したくらいだから、今回のワンマンが"ただのライヴ"で終わるワケがナイ。そのこだわりがAN'S ALL STARSがエンタテインメント・ユニットである所以であり、オーディエンスを楽しませようとする彼等ならではの特色でもある。
.....で、今回のワンマンのタイトルは"Virgin? Live Tour 2008 〜Welcome to An's HOSPITAL〜"である。AN'S病院のお医者様方が、病めるアンダチ(オーディエンス)を診察/治療してあげるからいらっしゃい、というコンセプト。オレの役ドコロは"患者数が多くて手が回らなくなったAN'S病院へ救援に駆け付ける新宿御苑病院の加瀬先生"(by祥太郎)だそうである。

.....フムフム。頼りになる敏腕医師で行くか、それとも「大丈夫か、コイツ?」で行くか.....。ちょっと考えようっと(.....)。
ではここで、AN'S ALL STARSのメンバーと、今回の東京公演の出演者全員を紹介しておこう。

大手青二プロダクション所属の人気声優。完全オフの日はないんじゃないかというくらい、多数のレギュラーを抱えるナレーターでもある。ラジオ番組"あんずジャム"(文化放送)での祥太郎との共演を機にAN'S ALL STARS結成。バンド内では"キング"と呼ばれるJBバリのエンター・ティナー/音大出身で絶対音感の持ち主、なのでヒジョーに仕事がしやすい。またradio・加瀬コムで暴露したが、実はオレが番組producerを務めたFM NACK5"flowers"(2007/1〜3月、毎週土曜日夜9時放送)というラジオ番組のタイトル・スポンサーCMのナレーションをやって貰った。いつ何処で何をやってても、とにかくず〜っと喋ってる。また、いつも現場にオイシイカスタード系の差し入れをすることからスタジオでは"カスキン(カスタード・キング)"と呼ばれる。

VIMS所属のタレント/声優。劇団出身の器用さを活かし、テレビ/ラジオ/舞台と様々なフィールドで活躍中。加瀬コム"トモダチ対談"第3回ゲスト、club・加瀬コム2008(2008.4.27)ではオレのアイカタとしてMCもやってくれた。多才で探究心の固まりみたいな、それでいて凄く優しくて面倒見の良いナイス・ガイ。自宅に"Freak Out Studio"を構え、音楽制作環境も万全(困った時だけ「加瀬さ〜ん」と言って来るケド)、AN'Sのスポークスマンであると同時に"はげまし係"。AN'S以外でも彼の音楽制作の際にはオレを頼りにしてくれる。また、彼のwebsiteはウチのマネージャー/デザイナー、桃園環ことpeep作。ちゅうワケで公私ともに良い関係を築き上げている大切な友人であり、愚痴の聞き相手でもある(爆)。

メンバー中最年長(ちなみにPのオレより歳上だ)、AN'Sの下ネタ担当(.....)。別ユニットで出演したイベントでAN'Sと知り合い、意気投合してバンドに参加。トレード・マークのフェンダー・テレキャスター+ツイン・リバーヴの組み合わせで超ドデカイ/ブ厚いサウンドを奏でる、ベテランだけどやんちゃな"永遠のギター・キッズ"。バンド内屈指のメロディ・メーカーでもあり、"Brand-new-day"と"Native song"(アルバム"カモンナ!!"収録)のギター・ソロはオレの最高のお気に入り。2003年の共演時も今回も、同世代なのにオレと正反対のメロディ/スタイルで激突するギター・バトルは、多分観てる人より本人達の方が楽しんでる。

AN'S ALL STARS内のいじられキャラ。元々祥太郎とMosquito Milkというバンドで共演、AN'Sには祥太郎の誘いで参加。センスの良いフレージングと、丁度良いアフター感がドンピシャにオレ好みのリアル・ベーシスト。忘れられないのはスタジオで「今のは"母性"。そうじゃなくて、"父親"って感じのベースを弾いてよ」というリクエストに見事に応えた場面。.....元より"支える"のが仕事のベースというパートで、それが出来るヤツはそういない。ライヴでは、汗だくで溶けそうになりながら熱演する姿が印象的な可愛いヤツ。良くライヴ前日になると「うわ〜、オレ明日どうやって音作ればイイすか〜」と電話して来る。

オレとAN'S ALL STARSを結びつけた張本人。ある意味"親友"。いつもコイツの紹介は同じで、オレが認める"世界最高のドラマー"。でももう一緒にバンド演ろうとは思わナイほどマイ・ペースなヤツ(苦笑)。
.....以上(爆)。

過去、AN'S ALL STARSのステージに最も多く参加しているsupport musicianがISAO。つい最近制作したAN'S ALL STARSのstudio live DVDでも、メンバー以外で参加しているのは彼だけ、言わばAN'S ALL STARSになくてはならない男。今回のワンマン・ツアーでもメンバー以外で唯一大阪公演にも同行。自身、AN'S ALL STARSのことが大好きな、もしかしたら最も身内にいる最もコアなファンかも。

岩堀孝俊(tb)/辰巳光英(tp)/yuhki(tp)/鈴木圭(sax)/筒井洋一(sax、fl)
通称"ハニホニ"、岩堀隊長率いる、AN'S ALL STARS専門special horn section。レコーディングはもちろん、ライヴ時にサウンド/エンタテインメント性を一気に高める存在感とキャラを持つ。このhorn sectionは最新作"カモンナ!!"の聴きどころのひとつでもある。今回のo-east公演は2tp/2saxの豪華版。.....辰巳さん、今度は会場間違えナイようにね(爆)。

Sumi&Chie、AN'S ALL STARSには今回が初参加となるコーラス2人組ユニット。初顔合わせの際「初めまして」と言ったら「お久しぶりです」と言われ、聞けばオレが'96年にコーラス・ガール連れて脱退した某バンドで、現在コーラスをしてる2人なのだそう(Sumiの方は確かに当時面識があった)。.....世の中は狭いね。

"ア"と読む、HISAYO/TAMA/YUKKO/HIROの4人から成るdance unit。AN'S ALL STARSとの共演は2004年のcittaに続いて今回が2度目。今回の役どころは妙に艶っぽい、AN'S病院の看護婦さん達。で、左人ちゃんのお気に入りは.....(爆)。

.....そしてオレを加えた、総勢18名の大所帯。.....いくらo-eastでも、さすがにステージ上は大混雑。大勢で演奏/演じる際、もっとも必要となるのがまとまり。が、本番までに全員が揃う機会はごく僅か。祥太郎の体重が日に日に減って行く.....。



数週間前にAN'S ALL STARSのスタジオ・ライヴDVDの制作のためにメンバー+ISAOでスタジオに入った。今日は目前に迫ったclub・加瀬コム用のリハーサル/打ち合わせも兼ね、AN'S ALL STARSがワンマンに向けたリハーサルを行っている都内某所のスタジオへ。参加者はメンバー+ISAO/芸者探偵団/ハニホニ岩堀氏。まず挨拶。よろしく!。で、芸者探偵団のおふたりは初めまして.....え、そーなの?、へえ〜.....奇遇というか、あっちゃいけないコトだよな、コレ(爆)。
さて演奏に合流。まず、メンバー全員club・加瀬コムとワンマンで頭がコンガラガってる(爆)。「えーっと、ここはISAOが.....あ、ISAOいないんだっけ。じゃあ加瀬さんここを.....あ、それワンマンか」みたいな感じ。とりあえず「何を演るか」が決まってないので、ひと通りやってみつつ、曲順の流れ的に「じゃあこの曲とこの曲もお願いします」と徐々に増えて行く。.....さっき来る直前にCD聴いといて良かった。彼等の制作は全部一緒
にやって来てるので、いきなり初見/アドリヴで数曲参加、乙部のフィルのクセも何もかも解ってるので問題ナシ。ただひとつ、まだ構成が固まらないのでまだアンサンブルの隙を埋めてるだけな感じ。"ゲスト"って、意外に難しいんだ。邪魔にならないようにアンサンブルに混ざるだけじゃサポートだし、自分を出しまくって目立ち過ぎてもブチ壊し。なので、ほど良く自分の色を出しつつ、原曲のイメージを保たなければならない。.....なーんて、実はそれってとても楽しい作業。オレ、仕事がらCD制作は"ライヴで出来ないことをやる"、んでライヴは"CDを越える".....おお、文字にするとナニワケワカンナイこと言ってんだオマエ、って感じだなあ。でも、それが出来なくなったらミュージシャン失格だ。帰って自分なりに少し煮詰めてみよ。


合流2度目。今日のメンツはヒデ以外のメンバー+ISAO/芸者探偵団/ハニホニ岩堀氏+yuhki氏(ヒデはスケジュールの都合で欠席予定)。前回から2週間が経過、ややワンマン全体の構成に変化。ちなみにハニホニはバンマスの岩堀氏が毎回リハーサルの度に曲構成などの変化をチェック、譜面に興してhorn section全体のアレンジをする。よって、全員集まっていなくてもアレンジはちゃんと進んでいるのである(あ〜頼りにナル!)。後半、祥太郎は
「.....加瀬さんいるんだから、オレここでギター置いて歌に専念しちゃおうっと」.....OK、2週間前のことは忘れるわ(爆)。いくつか3rdアンサンブルではなく、祥太郎の弾いてるパートを思い出しつつplay。CDで聴こえてる構成音をしっかり出した上で、ちょっと色付け。.....左人ちゃんとふたりだけになると、いかにオレのギター・サウンドが"knife edge"かが良く解る。
毎回収録/生放送/イベント出演と、何かしらで喋ってるヒデ、「多分間に合わないと思うので欠席扱いで」と言っていたのが息を切らせて登場、全員拍手。「いや〜、マジックやったわ。絶対間に合う筈なかったんやけど」.....AN'Sへの愛と責任感を感じる。
"A-N-S"、ウチのマネージャーが"ピンクレディーに詳しい"とのことで、正しい"UFO"の振り付けを教わる.....フムフム、右足が前ね。オレなにしろキャンディーズ命だったからね。アニメタル・レディーの時もMIEさんに「アンタ敵だと思ってたんでしょ!」って言われてたからね(爆)。
.....で、ナニ?、左人ちゃん。「ワンマンで加瀬さんとギター・バトルしたいから1曲書き下ろしてる」.....間に合うのか!?


いつもと違うスタジオで、今回はメンバー+オレだけの、完全club・加瀬コム仕様RH。ここでオレがレンタルしたguitar amp、実は最近祥太郎が買うつもりで楽器屋で試奏、結局やめて別のモデルを購入した、その選ばれなかった方。最初はルックスに惚れ込んだんだそうだが、結局は音的にスタンダードなモデルを選んだらしい。「.....チクショー、上手い人が弾くとやっぱイイ音するんだな〜!」.....ありがとう。ちなみにコレ、オレもあんまり好きじゃないよ!(苦笑)。
さて、メインとなるclub・加瀬コム仕様のAN'S ALL STARS、実はset listの後半にオレが混ざるのだが、基本的にはISAOもいない"メンバーのみ"の構成。当然、普段のアンサンブルに比べ「音の厚みが足らない」とか「リード・メロディがない」なんて問題にブチあたる。が、狭いライヴ・ハウスで「オリャ!」と演奏するのは逆に滅多にない機会。メン
バーは昨日までのワンマン用リハーサルと頭を切り替えるのに必死。しかも、あまりの多忙さで乙部が終わっちゃってる(苦笑)。が、それでも彼等はこのclub・加瀬コムで初披露する新曲"Go my way"(まさにギター・ロック編成ならではの曲)のアレンジに余念がない。"我が道を突き進む"この曲、ぶっちゃけワンマン初披露くらい余裕が必要な筈なのに「いや、絶対このイベントで演ります!」..........祥太郎って、オレの頭の中全部知ってるんじゃないかな。.....サンキュ!。
そしてset listのラストを飾るのは"Brand-new-day"、オレが昨年ソロ・ライヴで弾き語りした曲。で、オレが"誰かにメッセージを届ける勇気と決意"を学んだ曲。「加瀬さん、最後のサビ歌っちゃってくれません?」.....祥太郎とヒデにありがたいやらアンダチに申し訳ナイやら。ありがとう。凄いプレゼントだ。


club・加瀬コムも無事終わり、いよいよワンマン用RHに専念。そして、どうやら"club・加瀬コム効果"があったらしく、イベント当日、帰りに5人でラーメン食った彼等は「もうちょっと5人でバンッ!て出来るようにならなくちゃバンドとしてダメだ」と、緊急ミーティングになったそう。そして、東京公演のset list前半に動きがあった。ギター・ロック・バンドとしてのストレートな構成への変更。.....良かったのかな。でも、ライヴ1本終わってその論議って、とてもバンドらしいぜ!。
さて、今日はハニホニyuhki氏(tp)以外、全員出席!.....ところが、これまた大阪と東京で公演内容が違うのである。しかも、大阪はメンバー+ISAOのみなので、選曲/曲順/アレンジ、全てが2種類存在することになる。そしてポイントになるのは、集まったメンツに対して如何に効率よくリハーサルを進めるか。祥太郎、ノイローゼ寸前(爆)。なので、なるべく祥太郎の負担にならないよう現場対応。前回と言ってることが違ってても「OK!」、思い出して「あ、こここうでしたっけ」と言われても「OK!」.....気にしないでイイよ。どうなったって最高のplayは約束するから!。
.....オレ、普通のミュージシャンと違って、リハーサルを録音して帰ったりしないのね(その代わり個人練習は絶対録る)。完全に身体で覚える。それが出来なきゃ本番はムリ。
逆にオレが録音して帰らなきゃならない状況って、構成とかが相当ヤバイ状態ってこと。でも今回は大丈夫。リハーサルに来る度に、参加曲が増えてるような気がしないでもナイけど(苦笑)。
その代わり、毎回マネージャーが写真記録を残してくれてるので帰ってチェック.....アレ?、もしかして、ちゃんと横向いて右足1歩前に出して腰落として"UFO"やってんの、オレだけちゃう??。


用賀にてゲネプロ。舞台監督を初め、音響/照明さんも加わり、場転換や振り付けなども含めた通しリハーサル。スタートは夕方、入りは昼。.....でね、左人ちゃんの新曲、まだ出来てナイのね(爆)。よっしゃ、今作ろ(核爆)。
この日は初めて全出演者が参加。メンバー/ISAO/ハニホニ/芸者探偵団、そしてdance unit"A!?"の4人。オレ入れて全部で18名。小道具などの仕込みも含め、本番さながらの進行。前述の「どんな医者で行こうかな」、結局オレは冗談交じりに言った「新宿御苑病院から、加瀬先生が応援に駆け付けてくれました!」の頼もしい予想を裏切る、ヨボヨボ医師役に決定。マネージャーが杖を買って来た(爆)。.....フフフ、見てろよ!(意味不明)。
通し前にまず各曲の進行チェック。.....お気づきだと思うが、このメンツでのゲネ、ということはつまり東京公演のゲネなのである。内容の違う大阪公演の本番前に東京公演のゲネ、というあたりで多忙な各出演者のスケジュール事情がお解り頂けると思う。つまり、タイヘンなのは大阪組。オレとハニホニ/芸者探偵団/A!?が覚えることはひとつ、でもメンバーとISAOはふたつ。
A!?が加わって、問題がひとつ発覚。.....オレ、フェンダー・ムスタングっていうギターとブルース・キューブっていう愛用のギター・アンプを直接ケーブルで繋ぎ、音響効果などのエフェクターは一切使わないのがスタイル。いわゆる"アンプ直"ってヤツ。他の皆は足元に何かしらのスイッチ類やペダルがセットしてあって、ヴォーカル/コーラス用のマイクが立ってるので、自然と"立ち位置"が決まる。.....で、オレは途中参加のゲストで、しかも足元に何も置かないから、良く言えば自由、悪く言えば住所不定(苦笑)。んで、実はやっかいなのが、voxというメーカーの"カール・コード"の愛用者、ってこと。ギターとアンプを繋ぐケーブルがクルクルしてて、真っすぐじゃないので離れると"ビヨーン"と延びるヤツ。コレが「カッコイイ!」と思って10年以上コレばっか。ところが、クルクルしてるせいで、地面にペッタリ接地せず、常にブラーンとしてるもの(それが好きなんだケド)。
それが、A!?がステージで踊ってる際に足元をすくう危険があることがやってみて解った。ミュージシャン同士だと解ってる/慣れてるから皆気をつけて行動出来るが、ダンス・チームとなると話は別。.....マネージャーと真剣論議。カール・コードをやめるか否か。.....結果、彼女達に注意をはらって貰い、オレも気をつけて動くことに。.....迷惑かけてゴメンね。本番上手く行きますように。
休憩時間に音響担当氏と打ち合わせ。.....そう、実はこの東京公演、bazookaのスタッフによってライヴ・レコーディングされ、後にDVDとして発売されるのだ!。.....タイヘンだコリャ(爆)。
深夜、ひととおりの流れが終了。.....もう来週は大阪。成功を祈る。東京の前にもう一度だけリハーサルがあるので、そこで頭を切り替えて行こう。


大阪公演が大盛況の内に終わり、メンバーが東京へと帰って来た。大阪の土産話+こぼれ話(.....)を聞きつつ、いよいよあと3日後に迫ったファイナル/o-eastのset listの最終リハーサル。
気をつけなければいけないのが大阪でのset listとの"決別"。同じ曲でもアレンジや編成が異なるため、残酷な言い方だが大阪のことは一旦忘れなくてはいけない。これが意外に難しく、やり慣れた曲であればあるほど微妙な違いが及ぼす大きな"ミス"に繋がるのである。
今日はハニホニ/圭君とA!?以外の全員が集合。セッティング込みで4時間、確認作業を行いながらでは全曲を演奏することは到底不可能、やむなくAN'S ALL STARSのみで演奏する曲は割愛し、大阪ではメンバー+ISAOのみだったものに東京でハニホニ、芸者探偵団、そしてオレが加わるものの細かいアレンジの煮詰めと最終確認を行う。もちろん、ベーシックになるのは10日前に行ったゲネ。.....が、大阪公演を終えたばかりの彼等には手応えや反省を含め、当然いくつかの変更点が発生する。ひとりが「あそこは中だるみっぽくなかったか?」と言えばひとりが「いや、良い感触だった」と言い、誰かが「あそこ、こうしない?」と言えば「いや、こうした方が」となる。だが、通常ハコをサーキットしているバンドならこれは当たり前の風景。そうやって何カ所も回って来たツアーが終わる頃に、各
曲がいい感じのアレンジになって来るもの。しかし、普段そう言った活動を行っていないAN'S ALL STARSにとっては、今回大阪で発生した欲や問題は1週間後の東京公演までに解決しなくてはならない。そして残された時間は今日だけ。
.....sound producerとしての個人的な印象だが、エナジー全開のメンバーに対し、ISAOが全体を冷静に見れているようだ。実際に現場(大阪)で体感し、そしてバンド全体のアンサンブルに足し算をして来た彼だけが知りうる全体の温度/質感/結果。メンバーを可能な限りアーティスティックに動かすために必要な"一歩引いた目線"が頼りになる。
プロフェッショナル集団であるハニホニは既にバンマス岩堀氏を中心に確認作業、芸者探偵団は振り付けに少々不安を残しつつ、「大丈夫です!」と頼もしい返事。オレは.....このスタジオでレンタルした某社のギター・アンプがご機嫌
ナナメで悪戦苦闘。だがヒロシはもっと重傷で、自分の機材に電源を入れた途端にトラブル発生、大阪直前のゲネでも別の機材トラブルに見舞われている彼は終始ナーバス。ヒロシは顔に出るだけでなくplayにも露骨に現れるタイプ。当日はスペアでオレの機材を持ち込むことに。.....ま、本番直前には色々あるモンさ。むしろここで問題は潰しておいて、本番中に何も起きなきゃラッキー、ぐらいに思わなきゃ。


本番前日。マネージャーが付け髭を買って来た(.....)。
某所で仕事のあと、我が憩いの殿堂・ドンキホーテに寄る。.....どこかで見た顔。良く見りゃ左人氏(.....)。
ドンキ、オレにとってはほぼ必然。で、良く誰かに逢う。だからってこのタイミングでこの相手、は可笑しかったね。明日、よろしく。


朝10時、会場入り。.....何でそんなに早いのかというと、ウチの録音スタッフ/機材と一緒の入りだからなのである。当然メンバーはまだ、でも舞台監督や照明さん/カメラスタッフ、それに乙部の弟子のトオルちゃんらは既に機材搬入中。皆、朝早くからご苦労さま。良い1日にしよう。
会場となる渋谷o-eastは1991年にOn Airとして出来て2003年に立て替え、同じビルにo-crest、duo music exchangeがあり、向かい側にo-westとo-nestを持つ、渋谷/道玄坂にある大きなlive houseスペースである。付近にはclub asiaや老舗lamamaなどもあり、渋谷出身のオレにとっては屋根裏/クアトロ/chelsea hotelなどとともにとても馴染みのある一角。で、o-eastはその中でも最大規模の所謂"デカバコ"(キャパ1.100人)、もちろん何度か演ってるがいつ来てもそのデカさ/天井の高さにうっとりするトコロ。が、総勢18名が機材と共にステージに上がれば相当な凝縮感となる筈。そして、まだ誰もいない/何もないステージに立ち、眼の前に大勢のオーディエンスがいて、皆で拳を振り上げる瞬間を想像する.....で、ニヤニヤする。それがここへ来て最初にやること。
ステージでは照明のSさんの指示でセッティングが進む。さて、我々が最初にやることはliveレコーディング・システムの設置。今回の担当はヒデに"ウィンダム"と呼ばれて可愛がられているウチのO西君。オレがスタジオでレコーディングを仕切る際、アシスタント/セカンドが3人いて、それぞれウィンダム/アギラ/ミクラスと呼んだりする("ウルトラセブン"ですな)。彼もアルバム制作に関わったAN'S ALL STARSのワンマン、そして録音担当、ということでとても盛り上がってくれている。音響のO田氏とセットアップ/配線などをやりとりしながら、PAブースの中にレコーディング・システムが完成。
ステージ上ではライザーの上に乙部のセットが組まれ、上手にISAO、下手にコーラスの芸者探偵団、その更に奥にハニホニ用ライザー。そしてフロントが上手から左人/祥太郎/ヒデ/オレ/ヒロシ。立ち位置のバミりを確認.....お
お、ゲネの時とヒロシの立ち位置が違う!.....もっとも、足元にエフェクターもなく、更に今回はマイクどころか転がしモニターすらナイ(オレは何故かliveでモニターを聴かない派)、簡単に言えばオレだけが住所不定(爆)。もっとも、セット後半のみのゲスト出演なので、オレがいる間だけ周りの皆が例のカール・コードに気をつけてくれれば上手く行く筈。
11時を過ぎ、続々とメンバーが会場に到着。祥太郎は忙しく走り回り、ヒデは生放送明けでろくに寝ていないらしい。辰巳さん、今回は間違えずにちゃんと到着(爆)。それぞれがステージに上がり、その景色を確かめながら楽器のセッティング。サウンド・チェックまでの間、メンバーそれぞれが演奏曲の確認作業。ちなみにこういった大きなハコでは、サウンド・チェック/リハーサル時と本番では客席/モニター共に音像に変化が起きる。どういうことかというと、まだ数十人しかいないリハーサル時に比べ、フロアが満員になった時に音の吸収率が格段に上がるからである。つまり今響いているこの音は本番でははね返って来ない
、などの"予測"が必要となり、決してリハーサル通りのサウンドにはならないのである(コレが冬だったりするとオーディエンスの服装で変化は絶大)。それら全てを見越して、各分野のスペシャリストが最高の舞台を創り上げるのだ。
オレのセットアップはいたって簡単、ブルースキューブにカール・コード差して終わり。メインのギターは10年弾いてるメタリック・レッドのムスタング、今日のサブは'77年製のオールド・ムスタング。この組み合わせが最高、あとは演るだけ。
13時、メンバー楽屋にて出演者全員でミーティング。脚本/演出の祥太郎がタイム・テーブルを元にひとつひとつ確認して行く。そして、いくつかの変更点が上がる。「ここ、やっぱりこうしましょう」通常、このタイミングでは"諦める"ことを、ヤツはしない。あくまでも目指したそのイメージのためにこだわり続ける。.....あらためて祥太郎の凄さを思い知った瞬間。
弁当食って、携帯のニュースを見る。京王線と埼京線が止まってる.....皆、間に合いますように。
14時半、リハーサルがスタート。ステージの左右に設置された巨大スクリーンに森久保監督の力作が映し出される。.....いつ寝てんだ、コイツ(爆)。良くお互いに"似た者同士"と語り合うが、先月は祥太郎がオレを、今回はオレが祥太
郎をフォローする側。目指すものをイメージし、それを具現化するために多くを取り仕切り、そしていつかは決定しなければならないというこのジレンマ.....とても良く解るよ。今オレ達に出来ることは安心させること。もっとも、彼の描いたものが見えてない/イメージ出来てないヤツはココにはいないから。任しとけ!。な、乙部.....あ、コイツ聞いてナイ(爆)。
オレはフロアとPAブースを行ったり来たりし、ステージ上のモニターと録音状況もチェック。ドラム・ライザーの高さで丁度ヴォーカル・マイクの位置に乙部のシンバル類が回り込むが、全体的にはいい感じ。
そしてここでA-N-Sのソロ・パートの順番に変更。元々は圭君のsax〜オレ〜左人ちゃんだったのだが、圭君が後方のライザーから降りて来てフロントでソロを取る時間を作るためにオレが最初に。当然、音響/照明、カメラ割りも変更。でも皆プロ、パっと演ってみてバッチリ。素晴らしいね。
16時、リハーサルが終わり、開場。外の様子は解らないが、楽屋に設置されたモニターで、あっという間にフロアが埋まるのが見えた。.....皆が待ちに待った、でも来ないで欲しいような、不思議な日。何故なら、元よりパーマネントな活動を行うわけではないAN'S ALL STARS、これが3月の渋公から始まった4連チャンの最終日。このあといったいいつ彼等が皆の前に現れるのか、誰にも(メンバー本人にすら)解らないからだ。逆の見方をすれば、この3ヶ月間がファンにとっては夢のような時間だったのかも知れない。その集大成となるこの日を、何より想い出深い1日とすること。そして、次に繋げること。それがAN'S ALL STARSの使命。我々サポート/ゲスト陣も、心してかかります!。
17時40分、10分遅れで"Virgin ? Live Tour 2008 〜Welcome to An's HOSPITAL〜"@o-eastスタート。舞台袖で出演者全員で円陣を組み「どーですか、患者さん!」のコール。オープニング・ムービーが始まり、オーディエンスの歓声があがった。
.....肝心のショーの詳細は9月にTOYS walkerからリリースされるDVDで観られるので割愛/ここまで読んで来てくれた皆さん、ゴメン(核爆)。
出番前の前半、2階席の端からISAO達と観ていたが、正直ここまで凄いと思ってなかった。ヤツらはゲネもリハも遥かに越えた、AN'S史上最高のステージを演っていた。1.000人の患者さん達を相手に、最高のオペを行う執刀医だ。皆と同様白衣に着替え、ついでに付け髭と杖で新宿御苑病院・加瀬院長(脳神経外科/爆)の完成!。
そして今回オレが心がけたのが"パンツが見えない"こと(爆)。3週間前のclub・加瀬コム2008の時、買ってまだ間もないローライズ・ジーンズと下着の相性があまりにも悪く、ちょっと背伸び/前屈みしたらすぐ見えちゃうのに本人まったく気付かず、ステージ上で皆に突っ込まれ、あとで写真/ビデオを観て大反省。しかも何故か(特にアンダチに)やたら好評、アンケートにも「似合う」「素敵」、挙げ句に「パンツ良かったです」などのコメントを頂いてしまい、おおいに反省した43歳は今回絶対に見えない組み合わせを実現したのである(.....)。
.....では、お時間。新宿御苑病院院長・加瀬竜哉がお手伝いに参ります(ヨボヨボだけど)。
オレの出番はセットのクライマックス、全出演者中最後に何故か"special guest"扱いでの登場。そういった意味ではclub・加瀬コム2008と同様。恐らく、オレのゲスト出演を知る多くのオーディエンスがオレが出て来てplayするのは"PJ"か"Brand-new-day"だと思っていただろうが、club・加瀬コム2008とは全然違う内容。.....よって、メンバーにアレンジ/アンサンブルなどの混乱が起きていたのである。

左人ちゃんが「加瀬さんとギター・バトルを」と書き下ろしたのがこの曲。5/25日現在、この曲にはタイトルがない。で、何故"SATOMI"なのかというと、SATO(左人)ちゃんがこの曲のデモを作って持って来たCD-Rに"M-1"(1曲目)、つまり"SATO M1"と書いてあったのを誰かが「.....SATOMI?」と読んだのがそのまま仮タイトルになってしまい、以来全員"SATOMI"と呼んでいる。プログレ/フュージョン的要素の強い、難しい曲(笑)。

今回、唯一club・加瀬コム2008でも演った曲。が、ISAO/芸者探偵団のソロで始まり、ハニホニやキング・ヒデのガール・フレンド(笑)などの登場もあり、全然別モノ。珍しく乙部の作曲で、アルバム"カモンナ!!"収録ヴァーションではオレがclavinetのパートとコーラスで参加している。この日はキングの暴走ブリとA!?の妖艶な絡みでオトナな場面を演出。
AN'S ALL STARSの代表曲のひとつであり、テーマ曲といっても過言ではないこの曲に参加出来るのは名誉なこと。club・加瀬コム2008の時もそうだったが、多くのliveでオープニング・ナンバーとしてplayされる。元々マキシのカップリング曲だったこの曲を"カモンナ!!"制作時にハニホニのパートを追録し、オレが完全に任されてre-mix、メンバー全員に拍手喝采の1発OKを貰った。liveではオーディエンスと一緒になって初めて振り付けが完成する、バンドだけでなくファンも参加する曲。.....1.000人でやる"UFO"は壮観だったよ(笑)。

本編最後を飾るのは1stアルバム収録のスピード・ナンバー、"Stand"。「自分を信じて立ち上がれ」というメッセージは誰かに向けてでもあり、自分に向けてでもあるもの。で、本番になると乙部が速い速い(苦笑)。.....祥太郎がスタジオ・リハーサル時に「加瀬さんに弾いて貰って、俺はギター置いて歌に専念します!」と言われたのがコレ。マイク片手に自由に走り回る祥太郎とヒデ、ステージ上からも「良いコンビだな」とあらためて感じた。

Wアンコールで再びステージに全員が上がり、彼等の代表曲であり、ファンにも特別な曲"peace"をplay。....."love&peace".....未熟なオレにはまだ無理なテーマ。それを堂々と歌い、オーディエンスの共感を呼ぶ彼等は素晴らしい。オレも皆に伝えることが出来ただろうか?。ただ手でピース・サインを作ることは簡単。が、この曲はそんな気持ちじゃ誰もplayしていない。AN'S ALL STARSから発信されるメッセージ、それが愛と平和と勇気。
全曲終了後、全出演者がステージに並び、「また逢おうぜ!」の約束。
全てが終わり、楽屋で皆とガッチリ握手。全員初めて見るような満面の笑顔。ヒデは泣いてた。気遣い命の祥太郎はまだ座ることもなく、楽屋を訪れるゲストの対応に走り回る。ウチのレコ担当・O西君から「問題なく完了」の知らせ。良かった。そして何より、ステージを去る際に観た1.000人のアンダチの笑顔が、この公演/この春の怒濤のライヴ・ラッシュの大成功を物語っていた。個人的にも色々なことがあった2008年春を締めくくる、最高の瞬間だった。
22時、全てが撤収されたo-eastのステージはまさに"祭りのあと"。イベンターの方に用意して頂いた打ち上げ会場で一本締め。.....凄い人数、凄い笑顔。AN'S ALL STARSが如何に周囲のスタッフに愛されているかを物語っている。そして、この日の"温度"を皆に届ける仕事が、オレには待っている。
あとでレコーディングされたものをチェックしてみたら、オレ全24曲中5曲しかplayしてないのに、出番の合計が40分もあった(.....)。収録合計190分の一大イベント、"Virgin? Live Tour 2008 〜Welcome to An's HOSPITAL〜"東京公演@o-east。患者さん達無事完治、先生方大満足。オレも新宿御苑病院へ戻り、この日のカルテをまとめて皆に届けなきゃ。DVD発売は9月27日予定、お楽しみに!。
そして、待たれる3rdアルバム。本来のオレの仕事はそこ。.....さ、アンダチの皆、腰の重いメンバーに催促!(爆)。


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