2008/05/10 up

─ 加瀬竜哉 + peep  共同 report ─


2005

2006

2007

2008
加瀬竜哉.com3周年。
それはつまり、この"器用を装った不器用男の意地っぱり3周年"でもある。.....なんだそりゃ、というと、つまりバンドにシビレてバンドに捧げてバンドを目指したのに、とうとう自分の居場所を確保出来ずにソロ・アーティストであることを受け入れて3年、という意味である。
2005年3月24日、とあるひとつのプロジェクトを静かに終わらせたその瞬間、オレは"F1ドライバー"に続いて人生2度目となる"諦める"という決断をした。だがそれは同時に「居場所を探す/作る、ではなく、勝手にいてみよう」の始まりでもあった。それまで"プロデューサー"という言葉は嫌いだった。「何様だよ!」と思っていた。が、オレはそこにいた。また、"アーティスト"という表現も拒否していた。ミュージシャン、でいたかったから。が、オレのやることは人様からはアーティスティックにカテゴライズされるらしい。否定するのも面倒になったので受け入れてみた。.....別に何も変わらなかった。つまりアーティスティックだ、ということになる。
でもね、な〜にやっても中途半端なんだ。
まず、何を始めても4年以上続いたためしがない。バンドもそう。結果、常に変化の中で適当にこなして、なんとなく形に出来て、だから結局「器用」というカテゴリーに自分から入ってって、「あなたがいると便利/安心」という位置に落ち着く。そんな音楽人生を歩んで来たと思う。心の底を打ち明ければ、「加瀬さんは何でも出来て羨ましい。自分はコレしか出来ないから」という人を、逆にオレ自身は羨ましく思っていた。が、自分に出来ないんだから仕方がなく、その世界で生きて行くためにはこのやり方が必要だった。
森久保祥太郎は言った。「オレは"職業は何ですか"と聞かれたら"森久保祥太郎です"と答えたい」.....寺山修司の名言のひとつだ。カテゴリーなんてクソ食らえ!オレはオレだ!.....ああなんて気持ちいいスタンスなんだ。そこに辿り着けるのはいつだか解らないが、目指すものがあるってのは幸せなことだ。
そんな決意をして、3年が経った。
オレの主催イベントはとりあえずいつも特殊らしい。なにしろ、スタンスがプロデューサーであり出演者でありD.J.であり、さらに司会者/だけどメイン・アクトじゃない、という....."笑っていいとも!"に於けるタモさんのスタンスに近いかも知れない。出ずっぱりだけど嫌味じゃない/必要だけど緩急使い分ける、みたいなね。そのためには強烈に個性的な共演者が必要となる。エモのHIBIKI、ヴィジュアルのシンディケイト、そして音楽ジャンルではない場所から派生したエンタテインメント・ユニットAN'S ALL STARS。.....まあ、通常まず出逢うことはない3つ。もしもオレが存在しなければ、この組み合わせは100%ありえない。でも、実現するんだからそこにはオレの存在意義がある。そして、オーディエンスは通常触れ合うことのない新しい出逢いを手に入れる.....それって、なんだか生産的じゃないか。そして何より、好きで手がけたアーティスト達と一緒でオレが嬉しい。
それがclub・加瀬コム2008。
加瀬竜哉、生涯初の主催イベントとなった2006年4月の1周年記念ではガール・ポップ/ミュージカル/モーター・スポーツ/弾き語りなんていう、ジャンルどころかカテゴリーすら一致しない組み合わせで開催した。それに比べりゃ、今回は"ヤローのロック・バンド"という、ヒジョーに明確なコンセプトに基づいてるんだからオレも成長したモンだ。ただし、人間の好み/好き嫌いには、同じ音楽なのに"ジャンル分け"というやっかいだが不可欠な要素が必然となり、自然と普段接するカテゴリーは狭まって来る。で、前述の「この人と言えばコレ」のないオレにとっては、レコ屋のジャンル別フロア分けよりもiPod shuffleが性に合う。その中で今回コンセプトにハマるのは、たかだか"ロック"という大きな枠でしかない。ラウド・ロックでもヘヴィ・ロックでもミクスチャーでもメタルでもいい。前向いて汗かいて声出して騒いで気持ちよくなることを、オレは"ロック"と定義する。そして、その定義に当てはめるのではなく、結果的にその条件を満たすにも関わらず、レコ屋のフロアが分かれるカラーの3バンドに出演をお願いした。もちろん、加瀬竜哉.comスタート以降、オレが一緒に素晴らしい音楽を作って来たと思える最高のヤロー共に、ね。

2008年元旦に発表したこのAN'S ALL STARS/シンディケイト/HIBIKIというラインアップ、オレの関わり合い方はAN'S ALL STARSがsound producer、シンディケイトがkeyboards arranger、そしてHIBIKIがrec&mixing engineer、といった感じ。もちろんいずれもオレが愛し、彼等も「加瀬さんじゃなきゃ」と慕ってくれている連中。この内、AN'S ALL STARSが最も付き合いが古く6年、HIBIKIが2年、シンディケイトは結成初アイテムからで1年、といったところ。
AN'S ALL STARSは過去1度彼等のliveにゲスト出演(ギター1曲)させて頂いたことがある。とは言え、本来は制作の際に役に立つべき立場であり、基本的に一緒に表へ出ることはない。それが、オレ自身がこうしてソロ・アーティストとして動き始めてしまったがために、2度とないと思っていた共演が再び実現することとなった。中心メンバーである森久保祥太郎/石川英郎のふたりは共に声優、彼等ふたりがラジオ番組で共演したのをきっかけにユニットが結成され、その後徐々に仲間が増え現在の構成となった。2002年、1stアルバム"アンズジャム"を共に制作、昨年2ndとなる"カモンナ!!"を発表。現在は3月にCCレモン・ホール、翌月の5月には東阪のデカバコ・ツアー、という状況のド真ん中にも関わらず快く出演を了承してくれた。
シンディケイトは結成1年少々。オレが多くのヴィジュアル系アーティストのsound productionを手がけているのを知ってか、2007年春の初アイテム制作時にアドヴァイスを求めて来た。その後一緒に1stマキシ"悩殺アバンギャルド"を制作、つい先日ミニ・アルバム"(噂の)アウトサイダー"を発表。ヴィジュアル系では多くがギター・バンド編成でありながらシンセサイザー・アレンジやピアノ/ストリングス導入を好み、オレ自身いくつかそう言った関わり合い方をしたバンドがあり、今作から協力することとなった。まだ若いバンドだが、この夏が勝負、かも。
HIBIKIは、しばらく前に一時期オレが多くの"アンダーグラウンド・エモーショナル・ロック"の作品のマスタリングを手がけていた時にやって来て色々話し、後日オレ自身がスタジオで録ってみてその瞬間にオレがファンになった。リハーサルとかレコーディングとかライヴとか、そんな区分けが一切ない。「せーの」で音を出せばそれがいつものオレ達、と言わんばかりのストレートな演奏/パフォーマンスで圧倒する、でもたった3人の凄いヤツら。
今回のハコは下北沢Cave-Be。2006年の1周年記念イベントは品川カミカゼハウスと言う、オレが"live〜showcase〜"を行っていたbar。イベント自体は前述のように異種カテゴリー混成、加えてD.J.あり、よってライヴというよりクラブ形式、というのがこのイベントの命名理由。そして今回はバンドがメインなのでライヴ・ハウス、というワケ。最初に下見に行ったのが2007年12月。前回はカウンターとホールにステージが付いてる、という造りだったワケだが、今回は高さのあるステージがあって客席、おそらくオール・スタンディングでも後の方まで見える筈。ただ、今回はカミカゼハウスや"flowers in the night vol.2-bloom-"を開催した渋谷Chelsea hotelなどと違い、D.J.booth用のスペースがない。ただしステージにはプロジェクターが降りる構造で、入れ替え時などを使ったD.J./MCについてはなんとかなると判断。
.....今回、事前に心がけたことが3つある。まず、チケット代を高くしないこと。そして、夜9時には終演すること。GW中の日曜日とは言え、翌日学校や会社、という方も少なくない筈。それと、ハコ側はキャパ200名と推すが、余裕を持ってマックス150名に押さえること。ギュウギュウ詰めで4時間、はあんまりだ。全てのオーディエンスに、楽しく過ごして貰いたい。これは、いつ何処でどんなイベントを企画しても一緒。
元旦にイベント開催を告知し、3月にチケット発売/正確には予約受付開始。.....あっという間に定員オーバー、抽選。.....ありがたい。そして出演者ラインアップに対する期待と注目度が数字に表れる。皆、テンションが上がって来た。
.....ところで、前回のイベントと大きく違うのが、今回から主催者がオレ個人ではなく"dragonlion"となったこと。そして、前回"お客様目線"だったpeepが今やオレのマネージャーとして関わっていること。

1周年の時と同じく、GW真っ只中にセットされたこのイベント。GWかぁ、仕事は休みだけど早めに新幹線予約しないと....なんて考えていたのは去年まで。Peep上京してはや1年。今回は、いろいろな準備が進むのを目の当たりに というか 準備を進める立場になっておりました。
そういうわけであらためまして。 dragonlionのPeepです。
今回出演していただいた3バンドさんのうち、私が既に面識があったのはAN'S ALL STARSのみ。シンディケイト/HIBIKIとは、今回のイベントを機にご対面することになりました。が、2バンドとも以前からお噂や音源を聴かせていただいていたり、何よりもメンバーの方々のお人柄に助けていただき、準備を進めることができました。
そして会場となるCave-Be....広島にあるハコと同じ名前だな、と思ったら、実はその広島Cave-Beが母体だそう。プロジェクターがある造りも広島と同じで、"おぉぉ広島Cave-Beなら出たことあるぞ!(爆)"と妙な親近感を覚えたりして。....しかし、だからって簡単にいくものでもないのです。いくら似たところがあっても別物。構造やPA位置、機材関係、ハコ周囲の環境(行列必至ですからね)もチェック。下見に行った時は写真も撮りまくり、ぬかりのないようにと気を張りつめていた....はずですが(爆)。とある日の加瀬さんとの打ち合わせ/
「....で、上手のココに設置すればいいと思います」
「それ、無理じゃん」
「?」
「その位置、壁に出っ張りがあったよ」
.........ほえぇぇぇええ!?(←記憶にない) ....恐るべし、加瀬竜哉のチェック(爆)。まだまだ甘いわし/精進いたします(汗)。
チケットも、予想はしたものの凄い勢いでsold out。加瀬コム管理人さん曰く「断腸の思い」で抽選....「抽選でチケット当選」したことないPeep(....)にとっても我が身のことのようにツライです(泣)。応募してくださった方/全員の期待と想いを胸に、必ずいいイベントにしますからね!


迎えた当日。13:00に会場入り。イベントのラストに予定しているsessionのリハーサルからスタート。.....事前にAN'S ALL STARSとはリハーサルしていたものの、他の出演者と実際に合わせるのは初。と言うかAN'S ALL STARS/シンディケイト/HIBIKI、いずれも面識がない。挨拶もそこそこにいきなりのリハーサル、オレは2度のランスルーを予定していたが、1回演っただけでバッチリ!。続いて各出演者達が初めてのハコで各自リハーサル。Cave-Beの少数精鋭の女性スタッフ達が"例によって"ムチャなオレの進行に合わせ、事前の計画通り+当日になっての変更にも動じずに対応してくれる。感謝。その間、club・加瀬コム恒例の弁当タイム。オレと管理人はドタバタしてまたも食えなかったが、もうひとり食事もとらず各出演者のリハーサルをじっと見つめ続ける男がいた。「コイツやっぱプロだ」今日最初に涙が出そうになった瞬間。

13:00入りというのは、Cave-Beにとっても特例だそう。しかも同会場で前夜はオールナイト・イベントが開催されていました。にも関わらず、「13:00入り?OKですよ」と快諾してくださった安達店長さん、スタッフの皆様、ありがとうございました。
きっちり入り時間に集合してくださった出演者の方々によるリハと平行して準備が進められたのは、もうひとつのclub・加瀬コム恒例・「おみやげ袋」。中身は、加瀬さんによる出演者の紹介/"加瀬コムpaper"、アンケート、出演者のフライヤー、そしてホワイト・レーベルのCD-R。....これはもしや!そうさ!(オイ)!........って 今回ももらった方々だけのお楽しみかな....うむ....豪華とだけお伝えしておきます(....ごめんなさい)。


.....17:05、予定より5分遅れで開場。外は既に長蛇の列。入場整理番号の入った当選ハガキを手に、多くの遠方からの方も含め階段から外の通りまで人が溢れている。さあスタート。ただの開場/入場じゃない。club・加瀬コム2008は、整理番号1番の方がCave-Beに足を踏み入れたその瞬間から始まっている。



加瀬竜哉の主催イベントに共通するもの、それは基本的に"幕間を作らない"こと。簡単に言うと、複数の演奏者の出演前後に起きる"転換"という必要悪な中断時間を、加瀬竜哉色に染めること。第1回となった2006年の
club・加瀬コムではD.J.Citrobalが各出演者のカラーに対し絶妙な選曲でオーディエンスを楽しませてくれた。ガールズ・コンピ"flowers"絡みの3度のイベントでは、世界中のオレのお気に入りの女性シンガーの名曲/名演をselect。そして今回は初のヤローのイベントなので、自分の生まれた'60'sから現代までの"ヤローモノ"を思いっ切り勝手に選ばせて貰った。たま〜に曲紹介のMCも行いつつ、トークのBGMまで含めて全てオレの選曲。つまり、今日1日はオレのアンテナに引っかからないモノはお見せしないしお聴かせしないのである。だから開場時間が開演時間なワケ。入場して、ドリンク・カウンター行って、誰かと喋ったりフライヤー眺めてる間も、実は加瀬竜哉の"洗脳"のお時間だったワケ(笑)。最前列の方は気付いてただろうけど、実はちゃっかりステージに降ろされたプロジェクターの後(つまりステージ上)にオレはいて、ドリンク・カウンターの列を見ながらお気に入りの曲を流していた。
ガールズのイベントでは必ず"真夜中のドア"/松原みきでスタートしたD.J.maruta's song list、今回は"peace of mind"/Boston。.....まあ、ノスタルジーかも知れない。彼等が残したものを、オレは忘れないから。

プロジェクターのスクリーンには「加瀬竜哉com 3rd anniversary event -club・加瀬コム2008-」の文字、そしておなじみ「まるた」マーク。1周年の時はバックドロップとして「まるたのれん」が登場してましたね。進化だ進化(?)。そのスクリーンの前に、整理番号順にお客さんがひとり、またひとりと会場内に。
加瀬さん主催のイベント恒例/「open/startが同時」にはワケがあります。通常、ライブの前後や転換時には会場が用意した「BGM」が流れているもの。そのBGMまでセレクトして準備してしまおう、ということで、開場と同時にD.J.marutaの登場。加瀬さんも書いているとおり、今回は"ヤロー・セレクト"。加瀬さんの思い入れのある"ヤローの曲"が次々と流れます。小さな声で口ずさんでいるお客さんの姿も。懐かしい曲、知っている曲がある方だけでなく、これを機に聴いてもらえたら嬉しいなという曲ばかり。後日、曲名の問い合わせをいただいたりもしましたので、この際全曲お教えします(笑)。セット・リストはこちら。ぜひ、聴いてみて/楽しんでください。




17:35、加瀬竜哉.com 3rd anniversary event-club・加瀬コム2008-と映し出されたプロジェクターが上がり、挨拶。入場者総数は解っていたものの、実際この目で見るその景色たるや格別。多くの皆さんがお目当てのアーティストがいるだろうに、オレに満面の笑顔で手を振ってくれた.....ありがとう!。頑張らなきゃ。
さて、皆解りきってるであろうイベントの趣旨説明に続いては、オレのアイカタ紹介。そう、この日のMCはオレひとりじゃない。加瀬コムで第3回トモダチ対談の相手としても登場、いつもオレに刺激とhappyをくれる大切な友人であり、やんちゃでカッコイイアーティスト、森久保祥太郎(AN'S ALL STARS)を呼び込む。固い握手。
.....そう、食事も取らずに、各出演者のリハーサルを食い入るように見つめていたのは祥太郎だった。今回の2MC/アイカタ役を快く引き受けてくれただけでなく、紹介するからにはと徹底的に出演アーティスト達のことを知っておこうと最前列を1歩も動かず、大音量の中で見つめていた祥太郎はやっぱりプロだ。今日1日、よろしく頼むよ!。

加瀬さんのアナウンスを合図に「まるた」マークがスクリーンから消え、始まったのは加瀬竜哉オープニング・ムービー。各出演者をそれぞれ登場前にスクリーンで紹介しよう、と準備されたもの。もう、あるものはとことんフル活用というのが加瀬竜哉(爆)。のっけから(爆)会場のレスポンス、すごっ(汗)。最前列、ちかっ!(爆)
そしていよいよ、客席のベクトルと歓声を一身にあびて加瀬さん登場。客席を見渡して、「入ったなぁ、オイ!(笑)」。熱い、熱いぞ客席(嬉)。その客席が、森久保さんの登場でさらに加熱(汗)。さすがのトークで盛り上げてくださいました。....じっと全てのリハを、会場内の様子を見ながら森久保さんの一言/「(シンディケイト/HIBIKIとは)会うの初めてだし。ちゃんと見て、聴いて、しっかり進行しなきゃ」。....すごいですね、と言ったら、「え〜、当たり前だよ〜」とニッコリ。そのお返事も含めてすごいっす。すごい人というのは、見えないところの努力が、心構えがものすごいのです。森久保さんも、そう。ぴぃすけ上京以来、会う方会う方に教えていただくことばかりです(感謝)。精進精進。




17:40、オレはフェンダー・ムスタングを抱え、ステージにいた。
2005年春、加瀬コムのスタートと共に歌い始めた/自分が歌うための歌を書き始めたオレは、まあ自分でも驚くほどに"過去を振り返る/未練たらしい"歌詞ばかり書いていた。live〜showcase〜シリーズで月イチ程度のソロ・ライヴを行い、もっとも自虐的と思える"弾き語り"を、それもエレアコなどではなくガット・ギターのみの"ごまかせない状況"で行って来たオレにとって、シンガーとしてのキャリアのスタートは明らかに"自分のため"でしかなかった。結果、書き下ろされた作品は皆"別離"の歌だった。それはつまり、正直に言って自分がちっとも前を向いていなかったことの証しでもある。最も最近行ったソロ・ライヴ(2007.8.23)では"闘い"をテーマとし、極めて個人的な事情を含め、耐えることを表現した。そして、この日を境に、オレはひとつの疑問と初めて闘い始めた。
「誰かのために歌うことは出来ないのか?」
生まれてまだ2ヶ月の新曲"未来航路"は、オレが書いた初めての"誰かを勇気づけたい"という想いの曲なんだ。そして、エレクトリック・ギターとヴォーカル/それも立って歌う、というスタイルも実はキャリア初。これはガット・ギターでの弾き語りからの"進化"と言える.....かな。皆手拍子/拍手をありがとう。今の自分の精一杯がコレです。

森久保さんの「さて!歌っちゃいますか?今日の主犯!(笑)」という紹介で、最初の「出演者」/加瀬竜哉です。....今日はガット・ギターは機材に入ってなかったの。ステージにあるのは赤いムスタングなの。でもひとりなの。....他のパートをオケで流しながら、ムスタングを持ち、立って歌う初のライヴ。「一番手....責任重大だなオレ」と、"主催者"としての責任も背負ってのステージは、大きな拍手と歓声で迎えられました。歌うのは出来たばかりの新曲/"未来航路"。最初に聴かせていただいた時には、過去の曲とのあまりの違いに、「....何かありました?」と訊いたくらい。そのくらい、未来を歌った曲。前を向こう、というメッセージを受けとめつつ、客席からは大きな手拍子。....伝わってる伝わってる。責任重大の一番手、たったひとり/たった1曲で客席を熱くさせました、今日の主犯(笑)。お見事!




17:45、何故か「可愛い!」という複雑な声援の中(爆)、祥太郎がステージに戻り、「チラっと見えてる緑のパンツのことじゃないスか」.....鏡もろくに見てなかったオレは今日1日、この"緑のパンツ"をオーディエンスに曝け出しながらイベントを切り盛りして行くことになることをまだ知らない。哀れ、本人は終了後に写真やビデオを観るまでちっとも気付いていなかったのだ.....。加えて、当日終演後のアンケートには「緑のパンツ、良かったです」との意見が多数.....オヂサン、どーすれば良いの?(涙)。

「何コレ!?」「げっ、こんなに出てたの!?」「マジかよ〜....」(初めてイベントのビデオを見た時の、自分の服装に対する加瀬さんの反応)
....見てた側からすると、見てたそのままが画面に映し出されているだけですが?(爆)「鏡でチェックしてませんでした?」「...."気をつけ"して見てたから....気づかなかった」(←ダメやん/笑)
"見えるなら見せてしまえ"(核爆)と勧めた加瀬コム管理人さん談/「見せる覚悟で臨んだんだからいいじゃないすか。単に程度問題で(笑)。それとも、どーしても見せたくないなら、森久保さんにならって今後ビキニにしたらどうすか?」。きつー。でも一理ある(爆)。加瀬さん無言(爆笑)。




"エモーショナル"という言葉から何を連想するか-それは日本語の"感情的"という言葉で充分だと思う。というワケでエモーショナル・ロックとは感情的なロック、である。ミクスチャーとかオルタナとかより遥かに解りやすい筈。祥太郎はHIBIKIのリハーサルを観て「凄い優しい眼をしてる人が吐き出す感情。惚れた!」と絶賛。更に、通常ライヴハウスでのサウンド・チェックと言えばモニターや自分の出音のチェック、さらには不慣れな楽曲の確認などを含めたリハーサル、として数曲を演奏する。が、HIBIKIはいきなり1曲playし、「.....加瀬さん、何かあります?」「.....いや?」「あ、じゃオレらOKです」.....これには祥太郎とふたりで驚いた。激しく髪を振り乱し、ギターをかき鳴らしながら様々な日常の疑問符を投げつけるタイチ(Vo,G)、眼を閉じて黙々とplayし続けるシンイチ(B)、そして決して大きくない身体全部を使ってスティックを振り下ろすケイジ(Dr)。.....ここで書いておく。彼等、レコーディングでも全く同じ。彼等を突き動かすものはテクニックでも楽器の条件やコンディションでもなく、常に"感情"なのである。17:50、たった3人とは思えないその音圧(音量ではない)を擁し、アグレッシヴな最新曲"砂"でHIBIKIのステージがスタート。.....正直に言うと、フロアの90%を占める女性客の反応が興味深かったのだが、1曲演奏するごとに予想以上の声援が飛ぶ。じっと歌詞に耳を傾け、その言葉をひとつも逃すまいとするオーディエンス。3曲目の"存在"のあと、フロアの期待を裏切り(笑)メンバー中最もshyなシンイチがMCを取る。5曲目の"サブストーリー"のあと、最後のMCでようやくタイチが口を開く。「言いたい時に言わないと後悔する」誰かへのメッセージ・ソング"言葉"。.....タイチは自分にも言い聞かせているようだ。
彼等を初めて観るオーディエンスの皆の反応はとても興味深かった。実質的なオープニング・アクトのオレのあとに現れた"ホンモノ"に、皆素直に身体が動いていたよう。.....今日初めてこの"感情的なロック"に触れた人、HIBIKIはオレが自信を持ってオススメ出来るバンドです。


"エモ"というのがどういう音楽ジャンルを指すのか、よくわからなかった私。約1年前/1st album『カゼニサケブ』で初めてHIBIKIを知り、これが"エモ"だよと知りました。私にとって"エモ"と言えばHIBIKIと言っても過言ではないと思います。初めて聴いた時の、あの染みいるような感じ、心に届く言葉を歌う人たち。
今回初めてliveを見させていただくことができ、CDと何も変わらないことに驚き....って、逆か。CDに納められているのは彼らの"ありのまま"。以前加瀬さんが「彼らの音を"編集"するのは間違ってる」と言っていた意味がliveを見たことでよくわかります。レコーディングでも「せーの」で一発録り....彼らの"感情"を削らないために。それでも「CD」という限られた空気の中に、エンジニアとしてのスタンスから少しでも彼らの感情を伝えようとしたのが加瀬さんなんだなと改めて気づいたり。やってることはエンジニアだけど、その視点は音楽人だなと。
タイチさんの歌の、あの放り投げる感じが大好きです。無造作に聞こえる、でも想いがたくさん詰まっている放り投げ方が。すごく熱い、熱いけどクールなバンド。純粋にその波に浸っていたかったけど、当然スタッフとしては客席がどう反応するかも気にしなければなのです。圧倒的に女性で占められている客席が(どうやら"エモ"のliveでは見られない光景らしいです)曲に合わせて波打ってる....よっしゃ!(嬉) 6月には彼らの主催イベントが控えています。このclub・加瀬コムを機に足を運んでいただけるとなお嬉しい!




18:20、プロジェクターが降り、アイカタの祥太郎とステージに戻ってオーディエンスに率直な感想を聞く。皆満足そうな笑顔で大きな拍手。嬉しかった。.....正直、ジャンルの違う3つのバンドを集めたイベントの主催者に、「目当てのバンド以外が相手にされなかったら.....」という危惧が全くなかったと言えば嘘になる。が、何故か「いや、オレが好きなバンドばっかなんだから大丈夫」という、妙な自信もあった。そして出た結果は.....皆の顔に書いてあった。良かった!。
ここのトークで祥太郎が前回のclub・加瀬コム(1周年/2006年)のことについて聞いてくれたのだが、それまで腕時計をしなかったオレがイベント当日の早朝に買った超安物の時計は、あの日から全く狂わずにずっとオレ
の左腕に巻き付いている。コイツも、この2年間のオレと一緒に時を刻み続けたんだな、と本番中にも関わらず感慨に耽ってしまった。
そしてここで、加瀬コム"トモダチ対談"で祥太郎に「今度5本指靴下をプレゼントする」と宣言して、未だ果たせていなかった約束(約束?/笑)を完了。オーディエンスの皆もしっかり覚えていてくれてて、オレも大満足(笑)。

当日、搬入する機材の中に、なぜか5本指靴下が。「...."替え"ですか?」「違う。祥太郎用入門編」「..............(どこがどう入門編なのかわからず)」。加瀬さんとそんな会話をしましたが、ステージで渡すとは思わなかった(笑)。しかもスクリーンはさんで、ステージの上手下手ギリギリで(爆)。
そう、ステージの転換中もMCを続けるとなると、加瀬さん+森久保さんは降ろされたスクリーンを避けて、ステージの端っこ同士で会話しなければいけないのです。....妙な光景だ(笑)。見てるほうも面白かったけど、その妙な立ち位置をいちばん楽しんでたのはご本人達のようです(笑)。




18:35、再びプロジェクターが上がる。開場時のオレのD.J.に続き、この日のイベント2つ目となるcontentsのお時間。
昨年、加瀬コム上で祥太郎とのトモダチ対談をupして1年が過ぎたワケだが、4回目はこれまでとは少し趣向を変え、今までのように何処かで会話したものをテキスト化して公開するだけでなく、ステージ上で皆を前にし、対談そのものも現場で公開、後日それをweb上でお見せする、というもの。ではこの1年で急速に接近し、音楽以外のこともアレコレと相談に乗っていた、本人いわく「心の師」(笑)という関係を築けたシンディケイトのスポークスマン、ユーイ(Vo)と対談を、それもclub・加瀬コム2008のステージ上で収録しようということになった。本人は「いやー、オレでいいんスか」と恐縮気味だったが、この日多くのオーディエンス、それも"ヴィジュアル系"が初めて、という人の多いイベントで、演奏前にまず自己紹介が出来るなんてのはめったにないチャンスだ。普段、自分のペースでMCすることしかないシンガー故に、本番中の"対談"は難しく、ほとんどインタビューになってしまったが.....ま、テンパってるユーイと、43歳にもなってメイクで対抗してるオッサン(爆)との対談の模様は加瀬コム/トモダチ対談へどーぞ。

「な、何かサングラスの奥でばっさばっさしてる!」と森久保さんに突っ込まれ、サングラスをとった加瀬さんは........極太つけまつげの完璧ヴィジュアルメイク(爆)。そのメイクを担当したのは........元ヴィジュアル系バンドリー
ダーのわし(わはははははははは)。いやー、慣れてても人にメイクするのって怖いですわ(爆)。つけまつげって、つけたことある人は解るだろうけど、つける前にまず長さの調整をしますよね?買ってきたまんまは大抵幅が長めに作ってあるので、まずは目のサイズに合わせて/目の幅より少し短くなるようカットします。が。カットしなくていいんです加瀬さんの場合。目、でかっ!(ウラヤマシイ)
実はこのトモダチ対談、事前に都内某所でユーイくんとのフォト・セッションも行いました(爆)。その時は「ライブばりメイクは写真にするとおかしいから」と、抑えめにメイクしてきたメイク上級者(笑)のユーイくんに合わせて、加瀬さんのメイクも抑えめにしました。が、今回はステージ上なので、しっかり濃くすべきだなとやったつもり....だけど、客席後方からでもわかるかな?と少し心配。その心配は....杞憂に終わりました(笑)。森久保さんに「すげー可愛い目で、まともに顔見れない....いつもの加瀬さんじゃない....」とまで言っていただけたので満足です(笑)。フォト・セッションの写真も加瀬コム/トモダチ対談でご覧いただけます!




.....ひとことでヴィジュアル系と言っても、その中に多くのカテゴリー/タイプが存在する。もっとも、これは当事者達/バンド側よりもファンによるカテゴライズと言えるかも知れない。例えば"楽しい"バンドと"暗い"バンド、彼等は前者。他に"黒い"バンドと"カラフルな"バンド。これは後者。
いすれにしても、この我が日本独自の音楽ジャンルであるヴィジュアル系にはひとことで言い表せない様々なスタイルが混在する。が、唯一共通しているのがその"メイク"という表現法。だから"ヴィジュアル"というネーミングなのである。対談中にも出て来たが、オレ自身いくつかのヴィジュアルl系バンドの制作のお手伝いをして来ており、大抵いつもオレがキーボードやピアノ・アレンジを手がけたりプロデュースしたりするバンドが2〜3存在している。現在のシンディケイトもそうだが、どうやら彼等はいつも音楽スタイルの情報を欲しているような気がする。「'80年代のアノ感じを出すにはどうすれば良いのか」とか「ふたりのギターの役割を、互いのカラーを出しつつ音楽理論的にぶつからないためにはどうすれば良いか」とか。極端に言ってしまえばヴィジュアル系はまだ進化の途中にあるため、例えば演歌が「耐えて偲びます」ロックが「朝まで騒ごうぜベイビー」、hiphopが「hey,yo」だとして、ヴィジュアルにはひとことで完了する決まり文句がないのである。「僕が守ってあげるよ」「刹那の想い」「僕ヲ殺シテ」.....もちろんこれは多くの音楽スタイルの無責任な"例"でしかない。が、それがない/変化中のままチャート上位を席巻するのはヴィジュアル系だけだ。その変化の中で、'80年代という"過去"に眼をつけた異端児的なバンド、それがシンディケイトなのである。以前スタジオで「何を聴けばイイすかね?」と言われて氣志團をススメたオレは.....何か間違ったかな?(爆)。
そして迎えたシンディケイトのステージ本番。19:10、プロジェクターにド派手な彼等が映し出され、フロアから歓声が上がる。オープニングS.E.からそのまま1曲目の振り付けへと突入。最初の2曲はオレがシンディケイトを「コイツら面白いかも」と思ったきっかけの曲。"ダサカッコイイ"っちゅーのがいったい何のことなのかと言えば、'80年代に当然のごとく使われた"キザな台詞"(ああ、これこそ死語だ!)を多用し、ディスコやネオン街のムードを現代音楽に持ち込もうというもの。.....ま、実はその手のことは誰でも考える。が、"カッコつけたがり"のヴィジュアル系バンドにとっては"羞恥心"が敵となる。で、コイツらは「微熱交じり」だの「ride on」だの「東京ベイ」だのと、惜しげもなく歌詞に盛り込んで来る.....ナルホド、肝は座ってるらしい(苦笑)。
センターに置かれたお立ち台にユーイが上がり、待ちかねていたシンディケイトのファンがジュリ扇振り回して迎え撃つ。彼等を、いやヴィジュアル系バンドを初めて観る多くのオーディエンスも振りに合わせて楽しそうに踊っている。たった4曲のset list、何故かと言えばその間彼等なりの"盛り上げ作戦"がふんだんに盛り込まれていること。ラストの"フィッシュファイト!"はその象徴的な曲。.....さすがにステージ上から"釣られた"のは皆初めてだったでしょ?(笑)。.....ま、この日トモダチ対談も含め、露出の多かったシンディケイト/ユーイに、敢えてこの場を使ってひとつだけ。「滑舌しっかり!」。
.....ところで、当日は触れなかったが、ギタリストの準々が実は6月でシンディケイトを卒業、新たな環境でその才能を発揮して行くことに。.....君の幸運を祈る。明日を信じて、な!。


1年くらい前だったかと。加瀬さんが妙〜な曲(すみません/汗)をよく口ずさんでた時期があり、それ何の曲ですか?と訊いたら「最近手掛けたヴィジュアル系」。 ....は?(核爆)、というのがシンディケイトとの出会いでした(笑)。"ダサカッコイイ"というコンセプトは、実際に曲を聴かせていただいて納得。ああ、80年代だ/ハート○クテルだと(笑)。その後、レコーディングにお邪魔する機会があり、メンバーの"ダサカッコイイ"に対する並々ならぬこだわりに感服いたしました。"ダサイ"を武器にするのって、ヴィジュアル系としては相当の覚悟がないとチャレンジできないと思います。加えて、今回のセットリストを見て「考えたなー策士だなー」、という面も。今回のこの異種格闘技的ラインナップ/3バンドともに「絶対あり得ない組み合わせですよ」と、いつもと違う対バンに驚きつつ楽しみつつ、そして不安も抱えつつ(そりゃ共通項は加瀬さんだけですから)臨んでいました。その中で自分たちはどうあるべきか....をいちばん考えて、作戦を練ってきたのがシンディケイトだと思います。ヴィジュアル系初体験の人も多いと見越して、初めてのお客さんでも楽しめるよう、丁寧な振り付け指導付き。....カラフルな衣装で映える映える(笑)。
が、それだけじゃありません。もちろん"オモシロイこと"をやるためには、それを支える音楽がしっかりしてないと。vocal/ユーイくんだけでなく、メンバー全員が一斉に振り付けするシーンもあるのですが(あそこまでやるとは思ってませんでした/爆)、演奏はきっちり!振り付けして飛び跳ねて、客席の反応も上々。夏に向けてガンガンライヴ入れます!とのこと。official siteでぜひチェックを!
ところで。客席がジュリ扇振ってるライヴ見たの、15年ぶりでした。あのー、肩にショッキング・ピンクの羽根つけて、ショートパンツで(以下略)。ねえ、加瀬さん(爆)。




19:40、入れ替えのために降りたプロジェクターの横で、今日3つめのcontentsスタート。現在加瀬コム上で連載/更新中のコンテンツ、no river, no life。まずオレが"春の小川"を歌い始めた時点で「始まった始まった」と思った方も多いだろうが、それ以上に今回は出演バンドのファンの皆さんから多くの反響を頂いたのが驚きでもあり、嬉しいことでもあった。
そう、たった96年前、東京/渋谷は"春の小川"に描かれているような長閑な景色の広がる武蔵野台地だったんだ。戦争、高度経済成長、オリンピック。焼け野原から高層ビル群へ。文明による様々な進化/変化で、この46億年の歴史を持つ星は、あまりにも短期間にあまりにも大きな変化を続けている。今我々が幸せなのは"安全/快適"を目指したオトナ達の決断と行動によるもの。これには感謝しなくてはならない。が、その影で多くの自然が失われて行った/隠されたまま、という事実が存在すること。春の小川は、我々が汚し、我々が蓋をし、我々が忘れて行こうとしていること。オレ自身がこの事実を知るきっかけは身近で私的なことだったが、問題は社会的だと思う。.....一歩間違えば退屈なこの"歴史の授業"みたいな時間、じっとオレの話に耳を傾けながら頷いていてくれた皆、ありがとう。自分に出来ることだけでいいから、やって行こうぜ!。

「もう1曲歌いたいんだけど....いいかな?」客席から起こる拍手が静まるのを待って、加瀬さんが再び歌い始めたのは...."春の小川"。加瀬さんにとっては格別の思い入れのある曲。加瀬コム/no river, no lifeのコンテンツが始まって以来、solo liveの時には必ず歌っている曲。
加瀬さんと川の話をするたびに言われること/「....そっか。オマエの実家のほうじゃ川は流れが見えて普通なんだよな」。....ハイ(汗)。しかもでかいもんで(一級河川多し)。
ここ東京で、いくつかの暗渠に足を運んだことがありますが、「....ちっちゃい川なんだな」というのがすべての第一印象。見方を変えれば、東京─関東平野という土地は、その細い、小さな流れに命を託してきたはず。人間にとって、特に農家にとっては、今も昔も水は「命」ですよ。そんな田園地帯出身(....)のPeepとしては実感できなくて当然かも知れませんが、その川を汚してしまう/さらにそれをケアせずに隠してしまった....というのは、自分で自分の首を絞める行為に等しい。大きな川なら、少々のゴミも飲み込んできれいにしてくれたでしょう。でも東京の、あんな小さな川にはそんな力はなかったんでしょうね。
....なんて話、退屈かな....と加瀬さん同様、気にしてたんですが、予想外に聴き入って頷いてる客席の様子に感心。当日のアンケートにも「知らなかった」「考えさせられました」と反響多数。さあ今年も川歩きの季節がやってきますよ加瀬さん(汗)。




元を辿れば、旧友の乙部(Dr)が「加瀬ちゃん、ちょっとオレが今やってるバンドでCD作りたいんだけど」と言って来たのが2002年。ここで乙部以外のメンバー全員と知り合い、彼等AN'S ALL STARSの初CD"アンズジャム"を作った。この行程が如何に濃密だったかはCDのラストに隠されている"アノひとこと"で解るよね(苦笑)。以後、多くの作品を共に作り、彼等のliveにもゲスト出演、DVDにも顔を出したり、と良い関係を築き上げて来たと思う。そして、ようやくオレの方から彼等を招待する機会が来た。一昨年から昨年にかけ、オリジナル・アルバムとしては5年振りとなる"カモンナ!!"を制作する際に"sound producer"の肩書きを頂いた。これは、メンバーから「加瀬さん、言いたいことあったらもっと言って欲しい!」という意思表示の表れ。別に遠慮してたつもりはないが、有り難くその称号を胸に、入魂の新作を一緒に造り上げた。メーカーの後ろ盾も何もなく、自分達だけでエンターテインメントを創り上げるAN'S ALL STARSに、オレも最大限の協力を惜しまない。.....が、その間に大きく変わったことが、AN'S ALL STARSではなくオレ自身がアーティスト活動を始めてしまったこと。もっとも、それがあるからこそ今回のイベント共演がある、とも言える。
20:05、プロジェクターに映し出されたAN'S ALL STARSの紹介映像の間も待ちきれずに歓声を上げていたオーディエンスに向け、今日ここまで1度もステージに顔を出さなかったヒデの「カモンナ!」のひとことでAN'S ALL STARSの代表曲"A-N-S"がスタート。ステージと客席が一斉にA/N/Sのアクションで埋まる。続けて横ノリの心地よいAlright。ベテランならではの緩急のバランスが見事なステージ構成だ。最初のMC。ここで、サングラスを外したヒデのメイク顔に爆笑。確かに「場末」だ.....。ここまでこのネタが引っ張られたのは主催者としても嬉しい誤算(苦笑)。アルバム・ヴァージョンと変わり、オルタナティヴにアレンジされた"THANK U"に続いてはこのclub・加瀬コムが初披露となる新曲"Go my way"。.....嬉しいね。このイベントが初披露なんて。集まったオーディエンスだけでなく、オレにも最高のプレゼントだよ!。「信じた道を突き進め」.....こんなシンプルでありふれたメッセージが、君達の歌声に乗ると"伝わる"んだ。それこそがAN'S ALL STARSの最大の魅力。「疲れてネエぞ!まだまだ行くぞ!!」のMCに続いて"OVER"がplayされ、「この青い空を越えて」の大合唱がフロアに響き渡る。
そして、多くのオーディエンスの"予想通り"だとは思うが、メンバーに呼ばれ、オレがステージへ。嬉しいね。2003年以来の"PJ"、アルバムではオレがキーボードをplayしている"XTC"。.....考えたら、腐れ縁の乙部と一緒にplayするのも4年振りだった。フロアの皆が笑顔で迎えてくれたことにあらためて感謝。
そしてAN'S ALL STARSのラストの曲は.....昨年8月、闘いをテーマに行ったソロ・ライヴでオレがひとり歌ったBrand-new-day"。最後のサビをオレが歌うアイデアは祥太郎とヒデからのもの。.....皆、ゴメンな。でも、最高に嬉しかったよ!!。


最後の出演者/AN'S ALL STARSの登場に、客席はスクリーンが上がる前からすごい歓声(汗)。レポの最初に加瀬さんも書かれましたが、今回のイベントを挟んで大ホールでのライヴが続いているにも関わらず、「喜んで!」と出演を快諾してくださいました。「こんなに客席と近いライヴ、これが最初で最後かも」とメンバーも口にされてたくらい、本当に貴重なライヴです。vocal/石川さん曰く「酸素、うすっ!(爆)」。
イベントも終盤、会場がヒート・アップしたせいもあり、ステージ上はもんのすごい暑さでした(汗)。が、汗だくでステージ上からあおるメンバーは、その暑ささえ楽しんでいる様子。まさにエンターティナーの本領発揮!
そして、ラスト3曲ではステージに加瀬さんも登場!以前、AN'S ALL STARSのライヴに加瀬さんが出演された時は、悔しいことにぴぃすけ駆けつけられず(涙)、加瀬さんが加わったAN'S ALL STARSを見るのは今回が初。ラスト・ナンバー/"Brand-new-day"ではvocalをとる場面も。コレ、加瀬さんも書いているようにイベント直前/AN'S ALL STARSとの最後のリハ時に「ここ、加瀬さん歌って」と急遽決まったもの
。作夏、高円寺PENGUIN HOUSEでの加瀬さんsolo liveでは、ひとりガットで弾き語りされたくらい好きな曲、ということもあり、これもAN'S ALL STARSからの「3周年のプレゼント」でしょう!
....昨年発売された、AN'S ALL STARSのセカンド・アルバム"カモンナ!!"に収録されているこの曲。実はそのアルバム製作中/加瀬さんひとりでmixという作業を行っている時に「こんなmixじゃ、彼らの想いを伝えられない」と、何度も自分自身のmixにダメ出しをするという、悩みに悩む姿を見た曲なのです。....そういう行程を経て送り出されたこの曲がどれだけの力を持つものに仕上がったかは、アンダチの皆さんがよくご存じのはず....!




2006年、初の主催イベントを開催した時、イベントのラストにステージに上がって貰えたのは各出演者の代表者のみだった。そりゃ理由はいくつかある。ステージが大きくないとか、出演者が多いとか。で、それは結果的にオレの"後悔"となっていた。MCで言った通り、今度こそは今日の出演者全員を紹介したかった。
エモ/ヴィジュアル/エンタテインメント、普段なら絶対に交わらない3組のアーティスト。だけど、オレと一緒に"明日に向かって"行こうとするアーティスト。君達全員をオーディエンスに紹介し、皆と一緒に顔を上げ、前を向き、必ずやって来る明日を信じて突き進む。その宣言/約束を、集まってくれたオーディエンスとし、それを歌う。それが3周年イベントでの夢であり目標だった。"tomorrow"という曲が出来た時、明日の方向を向いていたとは正直断言出来ない。が、この日にそれが歌える自分になろう/そう思える自分になろうと思い、頑張って来た。多くを語ることは出来ないのだが、この時オレと管理人は"闘い"の真っ只中にいた。でも、そんな中でも前を向くことを、自分達に言い聞かせて来た。さあ、胸を張って、大きな声で宣言しよう。20:55、club・加瀬コム出演者全員によるsession、"tomorrow"がスタート。

明日は来るから どんな日も誰にでも
明日を信じて もう1度顔あげよう

そのメッセージを、ステージ上の仲間達とフロアのオーディエンス、そして自分自身に向けて。願わくば、そこにいる全員が前を向き、明日を信じて生きて行けますよう。43歳の加瀬竜哉が発する初の"メッセージ"は、自分と仲間達、そしてそこにいた全員に向けて発します。

....全出演者の演奏が終わったら....やっぱりイベントにはこれがなきゃ!でしょう(笑)。ステージにはAN'S ALL STARSのメンバー、そしてムスタングを置いた加瀬さん。....そして呼び込まれるHIBIKIとシンディケイトの全メンバー。総勢14人(!)。AN'S ALL STARS/左人さんのギターで始まった曲は、加瀬さんの書き下ろし曲
"tomorrow"。....言っていいのかな(汗)。最初にちらっと書いた、今回配布された「radio・加瀬コム」にこの"tomorrow"が収録されているんですが、その収録versionと同じく、AN'S ALL STARS/石川英郎・森久保祥太郎、シンディケイト/ユーイ、HIBIKI/タイチ、そして加瀬竜哉という超豪華vocalの競演です。短いソロ・パートの中で、それぞれ自分の"色"を出せるってスゴイ(感動)。
「明日は来るから」....サビのこの言葉、加瀬さんがこの曲を作られる時に、いちばん最初に浮かんだ言葉だそう。そのサビでの満員の客
席と満員のステージ(汗)が一緒になって歌い、起こす手の波は壮観....!
....ここで発表してしまってよろしいでしょうか?(汗)「おみやげ袋」の中にもフライヤーがあったと思います。ステージ上からも告知されたとおり、
加瀬竜哉/solo album "knife edge"制作が決定いたしました。詳細は、まだゴニョゴニョゴニョ....(いけず)ですが、実はこの日ステージにいらした方々の中にも、そのアルバム参加が決定!....な方々がいらっしゃいます(!)。詳細発表をお楽しみに!




前回(2006年)、叶わなかったことがもうひとつ。.....終演後に出演者全員で記念撮影、ってのはイベントでは良くあるが、オーディエンスも含めた参加者全員、となるとそうはナイもの。.....もちろん、スタッフ全員が入るワケもないし、ウチの"謎の管理人"(爆)は入ってないし、更に時間の都合で既に退場されてるお客様も。.....だけど、オレが"明日を信じて前を向く"という約束をした皆と、そこで証拠写真を撮って残す、というのが今回のイベントのラスト・コンテンツ。参加してくれた皆、本当にありがとう。
.....イイ顔してるぜ、皆!。

現場での打ち上げのあと、シンディケイトはそのまま次のliveのために仙台へと向かい、ワンマン目前のAN'S ALL STARSは5人でラーメンを食いながら「.....やっぱ、5人でどこまで出来るか、って大事だな.....」とミーティングになったそう。.....何やっても4年続かない加瀬竜哉も、これが鬼門の4年目へのスタート。"未来航路"で始まり"tomorrow"で締めくくったこのイベントは、未来へ/明日へ、向かって行こうというスピリットであり宣言なんだ。




ご来場いただいた方々、難しいことじゃなくていいや、"何か"を受け取ってもらえたなら最高です。会場をあとにする皆さんの笑顔、忘れません。
AN'S ALL STARS、シンディケイト、HIBIKI。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。Cave-Be/店長・安達さん、スタッフの皆様、いろいろと助けていただき、大変お世話になりました。当日お手伝いいただいた、Nさん、Iさん、6340さん、またの機会にもよろしくお願いいたします(汗)。ありがとうございました!

最後に。
当日来てくれたオーディエンスの皆、来れなかったけど応援してくれた皆、スタッフの皆、そして出演者の皆、本当にありがとう。君達は加瀬竜哉に「明日を信じて頑張ろうぜ」と言われた、初めての人達です!。

photo by 6340/kanrinin/peep - thanks.
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