加瀬コム内のいくつかのコンテンツでも触れているが、渋谷公会堂改めC.C.Lemon hallはオレが通った小学校のすぐ隣にあり、渋公、区役所、代々木競技場、NHKと言う、1964年の東京オリンピックを機に開発されたこの地の風景はこの40年間基本的に変わらない。そして、近隣に暮らしたオレにとって渋公と言えばなんと言っても"8時だヨ!全員集合"の公開生放送の会場。生まれて初めて入った大ホールでもあり、その後多くのコンサートを観た、渋谷区民の誇る歴史と伝統の会場なのである。
そして2006年12月、遂に我らがDがそのステージに立つ。 |
結成後の初アイテムとなった"New Blood"から3年半、常に制作を共にして来たD。先日、我がbazooka-studioのpodcast・"radio-bazooka!!"に出演してもらった際にも触れたが、この1年間彼等には多くの変化/進化が見られた。まず、丁度1年前のTsunehito(bass)の加入。前作"The
name of the ROSE"製作中のアクシデントを乗り越え、最強のラインアップとなって渋谷AXのステージに帰って来たのが奇しくも2005年12月5日であった。そして2006年になると春にはギタリストのRuiza、夏にはヴォーカリストのASAGIと、立て続けにソロ作品をリリース。オレ自身普段のDの作品でkeyboardパートを担当させて貰っているが、今回Ruizaのソロではbassを、ASAGIのソロではguitar/bass/violin/programingなど、これまで以上に貢献の場を与えて貰った。そしてDサウンドの中核を担うふたりのソロ作品制作は本家Dへの多大なるフィードバックを齎し、満を持して2作目となるフル・アルバム"Tafel
Anatomie"の制作がスタートした。 |
Tafel Anatomieはコンセプト・アルバムであり、人間の肉体/精神の内面へと踏み込んだ"解体新書"的なこのアルバムは、これまでよりも更に深いASAGIの"世界観"に満ち溢れている。この"世界観"や"空気感"などのミュージシャンが良く口にする言葉は近年容易に使われるが、大抵の場合"雰囲気"と言う言葉に置き換えられるほどあやふやで無責任な表現であり、容易に使われれば使われるほどますますイメージがぼやけてしまう危険な表現とも言える。が、ASAGIはまさにこの"世界観"と言う言葉が相応しいアーティストであり、オレ自身、彼以上にイメージを具現化するために手を抜かないアーティストを知らない。同時に、その具現化へ向けて彼のイメージを理解するため、夏のソロ制作での共同作業は非常に有意義なものとなった。そして、その集大成として完成したのがセカンド・アルバム"Tafel Anatomie"なのである。 |
多くのツアー、インストア・イベントなどの合間を縫って、Dはツアー・ファイナルとなる渋谷公会堂公演に向けてもうひとつのオファーをくれた。
「渋谷公会堂で無料配布するメモリアルCDを、ファンへの感謝の気持ちを込めた作品として作りたい」
.....ご存知ない方もいるかも知れないが、Dは結成以来、如何なる事務所やレーベルにも所属しない。全ての裏方業務を自分達と数少ないスタッフでこなすと言う、一見無謀な方法論で、しかし遂に渋谷公会堂ワンマンまでやって来たのである。そしてその裏には、多くの外部からのスタッフや協力者、そして何よりも一緒に歩んで来たファンの支えがあったからに他ならない。そして彼等は2007年、遂にファンクラブを発足する。ただでさえ多忙な彼等がその決断をした理由は感謝の気持ちに他ならない。そして、その発表をtour finalの渋公のステージ上から行い、彼等は感謝の気持ちを込めてこのメモリアル曲を贈りたいのだと言う。
"Ultimate Lover"
僕に残されたものは愛を歌うことだけ 君が思うよりずっと僕は君を思っている
.....ファンクラブの名称は"Ultimate Lover"となるそうだ。素敵なアイデアじゃないか。 |
そしてTafel Anatomie tour final、渋谷公会堂ワンマン当日。春に日本青年館で初ホール・ワンマンを行ったDだが、当然その上を行くキャパシティとスケールを誇る大会場である。朝早くから多くのスタッフの手によって機材搬入やステージの仕込みが開始され、巨大なTafel Anatomie tour finalのセットが徐々にその全貌を現して行く。 |