all symphony ・ memorial stage
2005/05/28 @urban plaza koiwa   2005/06/12 up

'93年からprograming/song writingを手掛け、'03年に解散した女性だけのmusical劇団、symphonyのOG(全部女性だからOBってのはいないんだな)達がメモリアル公演を企画、今回の公演に向けオファーを受けたのは昨年の秋。

'87年の結成から100人近くの団員が出入りした、同系列の劇団の中ではかなりの老舗/大規模な集団である彼女達が今回精神面でテーマとするのは"感謝"。在籍した全ての仲間達、スタッフ、オーディエンス、互いに協力し合う他劇団、そして支えた家族や友人.....。それぞれに想いがあり、そして現実がある。葛藤/確執/挫折、あらゆるネガティヴな要素を封じ込め、心からの平等な感謝を持って公演を終える、その為に残された時間は僅か半年間しか無かった。
クリスマス直前、感謝の言葉をゴスペルに乗せて歌うショウのエンディング曲の依頼からスタート。まず教会へ行く。何故なら、そこには何の憂いも無く心からの感謝を歌に乗せるスピリットがあるからだ。年明けにデモを制作、事前に用意された歌詞を一言一句代えず、理想的なメロディが生まれた。
1月下旬、まず全員の気持ちがひとつになるよう、歌レッスンよりも前に身体で感じるグルーヴ感を養う所からスタート、そして3月中旬に全員を輪になって歌わせた時、劇団16年の歴史の中でそれぞれが違う時代を生きた彼女達は、ちゃんとひとつになっていた。他の楽曲もいよいよ振り付けが大詰めとなり、彼女達の想いが結実する本番2週間前、オレから言う事は「上手く歌おうとするな」のひとことだけ。君達がやる事は"分け隔て無く、平等に愛し、感謝する"それだけだ。

緊張感に満ちたリハーサル
本番当日、全ての出演者がピリピリと緊張し、当然ハプニングも起こる。セットが壊れ、衣装が破れ、補修もそこそこに慌ただしく準備に入る。朝10時、最終チェックが始まる。前日のゲネプロも含め、メンバーの疲れもピーク。皆演り慣れたホールとは言え、稽古場とは違う場位置、音響、酸素濃度、そして光景。全てが昨夜ベッドの中で想い描いた絵との微妙なギャップとの闘いとなる。
昼/夕2回の公演は共に満席。オレに出来る亊はもう無い。楽屋を歩けば着替えに遭遇(汗)、お客さんにトイレの場所を聞かれりゃガセ情報(トホホ)。弁当食って、あっと言う間に1ベルが鳴る。いざ、夢の舞台へ!。
やれる事が無くなったの図

「最後列のお客さんに届くよう、ステージに向かって歌ってごらん」


musical"陽色の砂塵〜守るべきもの〜"
公演のオープニングを飾るのはヴァンパイアにされた人間が過去の記憶を取り戻し、自らの運命と対峙しながら本当に大切なものは何かを探る、と言うストーリーの芝居。
ヴァンパイアを取り仕切る伯爵が厳粛なムードの中登場し、集団を引き連れて羽根を翻し歌い/踊る。スケールとスピード感に満ちたダンスは今回最もダークなオープニング曲のイメージを盛り上げる。祝福の歌、葛藤の歌、どれもがリハーサル時には存在し得ない特殊な感情で表現されて行く。

grand show"B-side Symphony"
インターバルを挟み、グランド・ショウ。オープニングは歴代のオレのプロローグの中で最もアップ・テンポなパーティー・ユーロ・ナンバー。しかものっけから客席を巻き込んでのお祭り騒ぎ。symphonyの名に相応しく音符がデザインされたpopな衣装を身を纏い、21個の愛すべき音階達が手拍子と声援で溢れる"会場"と言う名の五線譜の上へ飛び出して行く。「ひとりでは奏でられないハーモニー」それが、今まさに行われていることそのもの。今、世界中で最も楽しいのは君達だ。
.....場面は変わり、去って行く女、死によって引き裂かれる愛、様々な場面に相応しい楽曲が次々と繰り広げられる。そしてエンディングは満員の観客の手拍子の中、ひとつになった空間の大合唱。隣で観ていた、今回出演が叶わなかったOGが泣いてたぜ。

グランド・フィナーレ
.....この公演を最後に舞台を降りる人、降りるつもりが降りれなくなった人、また新天地でチャレンジする人。様々なベクトルが同時に重なった時、それは優先順位の無い本当の感謝の気持ちとなり、ひとつのスピリットとなる。彼女達の掲げた"感謝"と言うテーマが本当の意味で結実するのは、今日を境に始まる日々なのだ。後日「ありがとう。悩んでいたけど、"歌"って楽しく歌って良かったんですね」と言ってくれた貴女、むしろ楽しく歌ってくれた事にこちらから感謝します。
ありがとう。

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