ダイムラーとアーバー・インベストメンツPJSはチームの株式を100%保有したことを明らかにした。
メルセデスGPはダイムラー社とアブダビの投資会社、アーバー・インベストメンツPJSが、2010年にブラウンGPの株式を一部買収して誕生したが、今回ホンダ時代からのチーム運営者であるロス・ブラウンとニック・フライが所有していた残り24.9%の株が買い取られ、株式保有率はダイムラー60%、アーバー40%となった。ダイムラーAGのCEO、ディーター・ツィッツェはメルセデスGP・F1チームの株式を100パーセント所有することは、同社がF1に長期参戦する意志の表れであると述べた。「今回のシルバー・アローの株式取得は、我々が世界のモーター・スポーツの最大且つ最重要なステージに於いて、成功を収めてみせると言う意志をハッキリ示すものである」
またダイムラーは、メルセデスGPの株式を手放したロス・ブラウンが今後もチーム・プリンシパルのポジションにとどまると明言、ブラウン自身もチームに長期的に貢献して行くことを宣言した。
ある意味、驚きの動きだ。何故なら、元々ダイムラーがブラウンGPを買収し、メルセデスのワークス・F1チームが誕生した背景には、ダイムラー社内での一部派閥(主にエコロジー推進派)の猛反対を押し切り、強引にスタートしたと言う過去があるからだ。しかも買収しての参戦初年度は、前年のダブル・タイトル獲得チームにも関わらず未勝利に終わり、秘密兵器・シューマッハー復活も不発、2年目の今季も合同テストの段階で早くもドライバー、チーム責任者共々「白旗宣言」が出る中での100%買収発表である。
結局、メルセデスの狙いは広告効果、ということになる。社内の反対派閥も、1年F1をやってみて納得したのか、それともまた裏では確執があり、それを乗り越えての結果なのか…。いずれにしても、このドイツの巨大企業の決断を、我々は心から歓迎する。