ロータス・ルノーGPは負傷したロベルト・クビサの代役としてニック・ハイドフェルドを起用すると発表した。
16日、ロータス・ルノーGPはラリー事故で右手を負傷し、長期離脱が確定していたエースのロベルト・クビサに代わり、先週ヘレスでテスト・ドライブを行ったニック・ハイドフェルドを開幕戦バーレーンGPから起用することを正式に発表した。次回バルセロナ・テストでハイドフェルドは19日と21にテストを担当する予定。
ロータス・ルノーGP声明
「ロータス・ルノーGPはチームに負傷したロベルト・クビサの代役として、今週末のバルセロナ・テストからニック・ハイドフェルドが加わることを発表出来ることを嬉しく思っている。ドイツ出身で33歳のハイドフェルドは、現在のF1で最も経験豊富なドライバーのひとりであり、11シーズン/172戦に出走しており、3月13日にバーレーンで始まる新シーズンに、ヴィタリー・ペトロフと共に参戦する」
ロータス・ルノーGP、エリック・ブーリエのコメント
「我々はこの数週間非常に困難な時間を過ごしており、早急に対応しなければならなかった。先週ヘレスでニックにチャンスを与え、とてもに感銘を受けた。彼は速く経験もあり、マシンへの理解力やスタッフへのフィードバックなど、技術的にも非常に強い。我々が優先すべきは、経験豊富なドライバーを起用することであり、彼こそが理想的だと考えている。チームにニックを迎えられることを嬉しく思うと共に、ニックとヴィタリーと共に、バーレーンで強力なシーズンのスタートを切れることを楽しみにしている」
ニック・ハイドフェルドのコメント
「F1にはこうした状況とは違う形で戻って来たかったけど、今回のチャンスを与えられたことを誇りに思う。すべてが一瞬だったが、チームのエンストンの施設や人々の情熱に感動した。先週のヘレス・テストは本当に楽しかったし、皆ともすでに上手くいっている。マシンにもいい感触を得ているし、今からシーズンの開幕が待ち遠しい」
病床のクビサが自らの代役に、親友のヴィタントニオ・リウッツィを推している、という一部報道があり、一時は難航も伝えられていたクビサの代役人選だが、ようやく噂通りの、そして恐らく現状で考えうる最高の人選となるニック・ハイドフェルドに決定、いや恐らくは既にチーム内部では決定しており、ヘレス・テストで既成事実を作り、考えに考え抜いた結果の起用、という形を取って発表されたのだろう。
いずれにしても、ハイドフェルドが現在浪人中(何処とも契約のない)のドライバーで最も適任だったことは事実であり、ハイドフェルドが実際に速さと堅実さを兼ね備え、確実にポイントを獲れるドライバーであることは疑いがない。ただし、ハイドフェルドはF1参戦11年で未だ未勝利でもあり、BMWザウバー時代にチーム・メイトだったクビサの初優勝時の2位が最高順位、というところが今回のハイドフェルド起用の「肝」なのである。つまり、ハイドフェルドに求められている成果は「クビサに勝るとも劣らない」レベルであり、決して初めからクビサを上回ることは期待されていないのだ。よって、もしもロータス・ルノーGPが本気でシーズンを闘うつもりであれば、他チームから誰か勝利経験のあるドライバーを強引にでも引き抜くか、さもなければ一応「浪人中」とされるキミ・ライコネンにいくらでもギャラを積んで来て貰うべきだっただろう。
こうした一連の流れを見て、2009年、フェリペ・マッサの途中離脱時の人選を想い出す。結局は模索したシューマッハー復帰が叶わず、最も期待されないテスト・ドライバーの代役起用で最悪の無得点に終わり、慌てて若手育成プログラムを立ち上げたフェラーリ。今回も、ロータス・ルノーGPはシューマッハー時代のフェラーリのような「チーム・クビサ体制」を構築中であり、あれだけの人数(計7人)がいても、エースの代わりに闘える若手ドライバーは存在せず、セカンド・ドライバーにも期待出来ない。言うなれば、クビサなしのロータス・ルノーGPでは、シーズン・オフに期待していた成果を望むのは難しい、ということである。例えそれが名手・ハイドフェルドだったとしても、だ。