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クビサ、年内復帰を望む

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イタリアで開催されていたラリーで重傷を負ったロベルト・クビサが、事故後初めてインタビューに答えた。
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ロータス・ルノーGPのドライバー、ロベルト・クビサは13日、イタリアで行われていたラリー・ロンデ・ディ・アンドラでガードレールに激しくクラッシュ、身体の右側を多発骨折し、右手は部分的に断絶、という重傷を負い、現在もイタリアの病院に入院している。クビサはインタビューに「今年中に復帰したい」と想いを語った。
「指も腕も動く。でももうひとつ手術を受けなければならず、先のことはそのあと解って来るだろう。その後復帰へのカウント・ダウンに入ると思う。出来れば今年中に、前よりも強くなってF1に復帰したい」
クビサは、2003年にF3ユーロ選手権で左腕を手術する事故に逢い、2007年にはF1カナダGPで宙を舞う大クラッシュを起こし、翌戦を欠場している。「カナダでの事故で僕はそれを乗り越えている。あの時は1レース欠場したが、復帰した時は前より速くなっていた。F1ドライブに必要なのは加速と操縦だけではないし、85パーセントで走るのと95パーセントで走るのとではまるで違う。残り15パーセントは能力とモチベーションなんだ。僕は精神的にも強くなったし、今回もそれは同じ筈だ」
今回事故を起こしたクビサのマシンは、ガード・レールがマシン正面から貫通する酷い状態だった。
「事故のことは何も覚えていないので、何が起こったか本当に解らないんだ。病院で眼が覚めて、ダニエル・モレリが全て説明してくれた。それは起きてはいけないことであり、心配させてしまった母に申し訳ない」
現在、クビサのラリー参加を許可したロータス・ルノーGPに非難の声が集中しているが、クビサはラリーに参加したことを後悔していないと言う。
「ラリーは僕の情熱であり、厳しいトレーニングであり、F1のためにも非常に過酷だ。多くのラリー・レースに参加したことで、僕はF1でもより上手く運転している。現在F1でのテストは非常に少なく、ラリー出場は集中力において特に役に立つんだ」
怪我が回復したらまたラリーに出るかとの質問に、クビサは「解らない」と答えた。

2007年第6戦カナダGP。時速270Kmでコンクリート・ウォールに激突したクビサは復帰後、明らかに「一皮剥けて」いた。彼が事故で得たものは「安定感」であり、持ち前の速さに加え、確実にポイント・フィニッシュする力を兼ね備え、確かにあの事故が転機だったのか、というきっかけになっている。事実、その1年後に全く同じモントリオールのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットがクビサの初勝利の舞台となったのはただの偶然ではないかも知れない。そしてあの時、ポーランド国民はヨハネ・パウロ二世に祈り、クビサの完全復活に国中が感謝した。今回もクビサは病床にヨハネ・パウロ二世の写真を置いているそうである。
クビサに神の御加護を。