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トゥルーリ「F1の魅力が減る」

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ヤルノ・トゥルーリが、全車完走となったヨーロッパGPに関して興味深い持論を示している。
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ヨーロッパGPでは全24台がチェッカー・フラッグを受けたが、トゥルーリは現代のF1マシンが壊れにくくなり、本来のF1の予測不可能な要素を奪い、スポーツの面白さを損なっている、と主張した。「僕らはヴァレンシアで、以前は考えられない記録を新たに塗り替えた。この記録は逆説的であり、非常に重要な意味を持っていると思う。レースの勝者は当然セバスチャン・ヴェッテルだが、このレースは勝者がひとりではないと言うことを示している。テクノロジーもまた勝者だ。しかしそれは人的ファクターとの戦いに於いて、過去数年楽に勝利を収めてきた後、予測不可能な事態、つまり一般的にメカニカル・トラブルと呼ばれるものに対する哲学的な争いにもついに勝利するようになった。昔はレースでフィニッシュ出来るかなんて解らずに走っていたけど、今は信頼性があることが普通のことになった。F1レースで最後にエンジンが壊れるのを見たのがいつなのか思い出せないほどだ。コンストラクター達は品質管理が上手くなり、どんなに細かいことも成り行き任せにはされない。このことはふたつの問題を含んでいる。ひとつは、小規模チームが入賞できる可能性が確実に減ってしまったこと。もうひとつは、F1の魅力がさらに減ること。ヴァレンシアのレースが1年で最も退屈なレースになったのは決して偶然ではない」

1996年第6戦モナコGP。勝者は我らが日本の無限エンジンを搭載したリジェのオリビエ・パニス。2位マクラーレンのクルサード、3位ザウバーのハーバート、4位同じくザウバーのフレンツェン。そして5位は、多重クラッシュでハッキネン(マクラーレン/6位)、アーバイン(フェラーリ/7位)を巻き込んだティレルのサロ。そう、このレースは周回数的に規定で7台が完走となっているが、実際にチェッカーを受けたのはたったの4台だった。変わりゆく天候の中でのサバイバル・レース。正直に言えば、最後まで目が離せず面白かった。もちろんクラッシュを歓迎するものではないが、ヤルノの言っている意味は良く解る…。