F1委員会は新エンジン導入を2014年に延期することで合意し、1、6リッター・V6ターボ・エンジンへの変更案が提示された。
多くのF1チームが既に4気筒ターボ・エンジンの導入に同意していたものの、2013年に現行2、4リッター・V8エンジンから切り替える、という当初の日程には反対していた。そして今回、22日(水)に開かれたF1委員会の会議後にV6エンジンが妥協案として同意された。またKERSのハイブリッド技術が継続され、新たな開発のため更にもう一年の猶予期間が与えられることになる。改訂版のレギュレーションは、便宜上ヨーロッパGP終了後の27日(月)に実施される世界モーター・スポーツ評議会で承認される必要がある。FIA会長のジャン・トッドは、環境に優しいエンジンの推進派にも関わらず、コスワースが明確化を問い合せ、フェラーリとメルセデスが懸念を伝えて来たことを告白。また、エンジン・メーカーの中で4気筒エンジンを完全に支持していたのはルノーだけで、当初は新レギュレーションが採用されない場合はF1撤退も辞さない、と言う姿勢だったが、ルノー側は後に「問題の早期解決を望んでいただけ」と説明している。
ようやくその姿が見えて来た新F1エンジン。とある有名サイトが「歴史上失われたレギュレーションで、復活させたいものは?」との問いに現代のドライバーが答える、と言うQ&Aを行うと、大抵のドライバー達が「ハイ・パワー・エンジン」と答えるのが興味深い。現役ドライバーで、V12サウンドを知る者はもはや一握り。…エコロジー、効率、宣伝効果、そしてスペクタクル。各メーカーの思惑は違えど、マシンが一斉にスターティング・グリッドを離れる瞬間の特殊性は、ギリギリでどうにか保持された形だ。