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ピレリ・赤旗時のタイヤ交換論

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モナコGPの赤旗中断時に於けるタイヤ交換は各チームの戦略に大きく影響したため、ピレリは赤旗時のタイヤ交換禁止を望んでいる。
続き
レース終盤、優勝争いはセバスチャン・ヴェッテル、フェルナンド・アロンソ、ジェンソン・バトンの3人、後続の小林可夢偉とマーク・ウェバー、ルイス・ハミルトンらも異なるタイヤ戦略でレースを行っていた。しかしレースはヴィタリー・ペトロフの事故で赤旗が出たため、全員タイヤを交換することが出来た。これによって、レース終盤の流れは大きく左右された、と多くのファンが感じた。ピレリのポール・ヘムベリーは「港のクルーザーから多くの人が私に向かって、どうしてタイヤ交換が認められたのか、と叫んでいたんだ。最後まで続いていたらどうなっていたのか。これは、残り6周がエキサイティングになるとみんな思っていたからだ」とコメントし、赤旗時の現行レギュレーションへの疑問を呈した。「赤旗が出たのは残念だ。何故ならタイヤを交換しなければ、作戦、タイヤ磨耗、タイヤ寿命などが異なるドライバー達が最後まで戦わざるを得なかったからだ。それまでの作戦ゲームの大詰めを見ることが出来ず、残念だった」

アロンソはレース後、もしタイヤ交換がなければヴェッテルに仕掛けただろう、と発言。バトンはそのふたりのクラッシュを期待して待っていたと言う。可夢偉もまたもしもタイヤ交換がなければウェバーを抑えられたと語った。ヴェッテルと可夢偉、それぞれ集団の先頭が1ストップ作戦のマシンだったため、尚更この赤旗によるイコール・コンディションは、レース終盤の作戦を事実上コントロールしてしまった。ハミルトンに至っては壊れたリア・ウィングを修復しており、ウェバーはレース後「そもそもどうして残り5周の時点でレースを再開する必要があったのか解らない」と言う。実際、フジテレビNEXTのコメンタリーも混乱し、一時は赤旗でレース終了、と解釈、いくつかのF1専門サイトも「レース終了」と更新したほどである(筆者も含め、多くのファンが可夢偉4位を確信した)。最終周まで素晴らしいスペクタクルが期待されていただけに、残念な結果、と言わざるを得ない。