ウィリアムズ・チームは、2011年からベネズエラの国営石油会社、PDVSAと長期パートナーシップ契約を結んだ。
PDVSAは世界第五位の石油会社で、今季ウィリアムズからF1デビューする2010年GP2王者、パストール・マルドナドの母国、ベネズエラの国営企業である。マルドナドは15日、ベネズエラの首都カラカスの軍事基地で2万人を集めてウィリアムズFW32のデモ走行を披露、このイベントに出席したベネズエラのウゴ・チャベス大統領からPDVSAとの提携が発表された。ベネズエラからはPDVSA以外にも複数の企業がウィリアムズのスポンサーに名乗りを上げているとされ、今季は潤沢な資金による安定したチーム運営が期待されている。
2010年、ウィリアムズは前年のGP2王者のドイツ人、ニコ・ヒュルケンベルグをデビューさせた。ヒュルケンベルグはチーム・メイトの大ベテラン、ルーベンス・バリチェロを相手に健闘、第18戦ブラジルではポール・ポジションを獲得してみせた。が、このゴールデン・ルーキーのヒュルケンベルグを降ろしてまでもウィリアムズがマルドナドを乗せる理由、それがこの「ベネズエラ・マネー」である。
ウィリアムズとザウバーの2チームは、2011年シーズンをペイ・ドライバー起用による潤沢な資金で運営し、ロータス・ルノーGPも2年目のヴィタリー・ペトロフに持ち込み資金の倍増を要求しているとされる。現状、トップ4(レッドブル、マクラーレン、フェラーリ、メルセデスGP)以外のチームは深刻な資金難と闘っており、例えデビュー・イヤーにポール・ポジション獲得などという偉業を達成してみせても、潤沢な持ち込み資金を持った新人ドライバーにシートを奪われてしまうのが現在のF1の現状なのである。