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可夢偉「運命を感じた」

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ザウバーの小林可夢偉は、またしても華麗なオーバー・テイク・ショーの連続で8位フィニッシュ、レース後のハミルトンのペナルティで7位に上がり、今季初ポイントを獲得した。
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小林可夢偉「とにかく失格しなくて良かった(笑)。2ストップ作戦はタイヤ的にはつらい面もあったけど、仮に3ストップしたらポジションが変わったかというと、あんまり変わらなかったような気もする。今回シューマッハーとウェバーとのバトルはフェアで良い闘いだったけど、あまりバトルしてるとタイヤには良くない。シューマッハーとは…抜いたと思ったらすぐピット・イン、僕がピットから出るとまた前に、を繰り返して…今回は、運命みたいなものを感じましたね。ただ、メルセデスGP勢と闘える状態がチームとしては良い状態なので、開幕戦も含めて、パフォーマンス的にウチのチームがどのあたりにいるかはこれでハッキリして来たんじゃないかと思います。逆に、それより前の連中には当分勝てない、と言うのが正直なところ。位置的に、ポイント獲得はもう当たり前。自信もついたし、ここからポイントを溜めて行ければ良いと思う」

確かにシューマッハーとは数え切れない回数のバトルを演じ、そして打ち勝ってみせた可夢偉だが、今回特に感じたのは「見事な抜かれ方」である。元々可夢偉は争っても仕方のない相手、つまり明らかにラップ・タイム的に勝負にならない相手には無理に抵抗せず、「綺麗に抜かせる」のが得意なドライバーである。実はこれが可夢偉の卓越したタイヤ・マネージメント能力の証しであり、来る者拒まずでバトルしているようで、実際には絶妙な戦略上のコントロールを行っているのである。今回のレースでは序盤にKERSの不調でペースの上がらないウェバーと互角にバトルして制して見せ、逆に仕掛けられることがあっても、終盤にチャンスありと見れば無理をせず先に行かせている。そう言う意味では、既に戦力的に手の内を見透かされてしまっているシューマッハー/メルセデスGPはむしろ「カモ」同然と言える。やはり可夢偉は「ミスター・オーバー・テイク」だ。