レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、オーストラリアGPの予選と決勝を通し、1度もKERSを使用しなかったことを明らかにした。
開幕戦オーストラリアGPで、レッドブルのマシンには革新的な「スタート専用KERS(運動エネルギー回収システム)」が搭載されているのではないかと噂されていたが、ホーナーは「従来型のKERSシステムに信頼性の問題があったため、使用しないことを決めた」とBBCに告白し、ライバル達を驚かせている。「この週末、我々はKERSを全く使わなかった。最初は誰にも言いたくなかったんだが、それも必要なかったかも知れないね」と笑うホーナー。「レース前にKERSのことを聞かれ、やや神経質になっていた。事実金曜日のフリー走行には搭載したが、信頼性に満足出来なかった。このままではリスクがあると判断し、両方のマシンからKERSを取り外して週末のレースを闘った」ホーナーは、レッドブルRB7はあくまでも通常のKERSを搭載する前提のマシンだが、その搭載方法に関してはテクニカル・ディレクターのエイドリアン・ニューウィーの意見が重要だと語っている。「我々はKERSについて決断を強いられたが、エイドリアンはこのシステムの搭載によってマシンに妥協が生じるのを許さなかった。そのために、彼のデザインしたエアロ・シェイプに収めなければならず、この大きなチャレンジに繋がった」尚、レッドブルは次戦マレーシアGPでは通常通りにKERSを搭載する予定だとしている。
…何と言うことだろうか。異次元の速さを見せつけたレッドブルRB7には、トップ・チーム標準装備のKERSが搭載されていなかった。それでもあの速さだ。もっとも、ウェバーの方はライバル達とのバトルに於いてその挙動がハッキリしなかったのは事実だが、これはポール・ポジションからスタート・ダッシュを決め、独走するスタイルのヴェッテルには無用のシステム、とも言える。逆に言えば、ウェバーは課題の予選ポジションを克服しないと、レッドブルRB7本来の戦闘力/特徴を活かすことが出来ない、と言うことでもある。
ヴェッテル・スペシャルとも言えるRB7。それにしてもKERS非搭載でもあの速さ、と言う事実にライバル達は絶句である。